旦那を殺してしまった。
近所のデパートに出かけた際、先に降りて駐車スペースにいる彼に気付かず、そのままバック。
車に押され、転倒した際に後頭部を強く打ち呆気なく亡くなった。
私は泣きながら救急車を呼んだが、間に合わなかった。ほぼ即死だったらしい。
担当してくださったのは私と旦那の古くからの友人でもある宮本さん。
憔悴し、泣くことしか出来ない私を見かね、警察には「旦那がバック誘導をする際に足がもつれて転倒した事故」と報告したようだ。
結局、私は何も疑われることすらなかった。
しかし、深い後悔と罪悪感が残り、宮本さんにだけは真実を打ち明けた。
彼は、「大丈夫、もう大丈夫。何もなかったから」と、その言葉を言わせまいとしていた。
私は、きっと地獄に落ちるのだろう。
そんな事故から月日は流れ、1年が経った。
ある日のことだ。
深夜、6歳の息子が急に起き上がってきたと思ったら、おもむろに固定電話を取り、耳に当てる。
十数秒のち、「ママ。パパから電話だったよ。体が動くようになったんだって!」
戦慄した。
息子には本当の事は言っていない。
しかし、事故で亡くなってしまった事は伝えている。当時は息子もギャンギャン泣いていたが、今では受け入れ、ママは僕が守るね、と言ってくれていたりもした。
そんな息子が、急にそんなことを言い出したものだから、意味がわからない。
急いで受話器をとりあげ耳に当てるが、ツー、ツー、という音のみで繋がっていなかった。
時間も時間だったので怖かったがとりあえず私は息子を寝かせた。
寝ぼけていたのだろう。そう思わないと、また罪悪感に飲まれてしまう。
しかし、その日から息子は頻繁に深夜に起き出し、受話器を耳に当てて言うのだ。
「ママ、パパがお手ても使えるようになったんだって」
「ママ、パパが足が動くようになったって」
「ママ、ママ、ママ──」
もうダメだ。私はあらゆるツテを使い、信頼できると紹介された霊媒師の女性に相談した。
「それは怖かったでしょう。この御守りをお渡しします。お金はいりません。息子さんにはくれぐれも離さないように言ってください」
渡されたのは、2つの御守り。神社で買うようなよくあるものではなく、青っぽい何かの石…?のようなものだった。
「それは必ずお2人を守ってくれます。しばらくは、様子を見ましょう」
正直胡散臭かったが、お金はいらないとのこと。藁にもすがる思いで、それを息子の首にかけさせた。



























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