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「いま、あなたの家の玄関ドアを
見知らぬ誰かが叩いている_!?」
これは、平成後半に、近頃再び流行っている「シール帳」や「ぷっくりシール」とか、「プロフィール帳」などの文化がその頃の中高生の間で親しまれた頃、私も例に漏れずそれらに青春を感じていた頃、そのころに見た一種の占いや診断の風体の本の一つです。私はオカルトやサブカルチャーに関するものが好きだったので、学校の友人と共有して話が合うわけでもないのですが、それなりに占いは当時流行っていたので、珍しいタイプの本に友人も興味を持っていたのではないかと思います。私の記憶のなかに、とてもこびりついています。
オカルト系のそういった怪しげな雰囲気が売りの雑誌というものは、大体はああいった文化の影響を受けませんでした。占いや診断などの要素が可愛らしい文体で描かれるものは、大体が少女漫画の雑誌のホラー特集、オカルト特集、といった形でした。しかし、先述したものは違ったのです。あまり聞いたことのない(そのため今ではすっかり忘れましたが、簡単だけれど読みにくいような漢字がいくつかあったのではないかと思います)出版社が出した、乱丁や落丁もいくつかある雑誌。しかも異様なことに、それは可愛らしい字体で「うらない」とか「あなたの〇〇が分かっちゃう!?」といったありきたりの文句が歌われているもので。しかし、おそらく背景の色は黒で、何かしらの目がのぞいていました。背景の黒を埋めるために白い字をピンクでふちどったPOP体の字を入れまくった、みたいな粗雑な作りが、なんでしょう、とても当時の私の好奇心を刺激して。それを親に内緒で貯めていたおこづかいで買って(だって本当に端っこに埋もれていたそれの存在を他者に知られるのは駄目なことのような気がしたのです)、学校と自分の勉強机の下だけでこっそり読み進めていました。今思えば普通の占い本と大差ない内容だったのでしょうが、そういった「特別」な本に書いてあると信憑性が高く思えてくるのは当たり前のことでもありました。その陳腐な内容のほとんどを今では忘れているのですが、ひとつだけ覚えている項目があって。AかBかを選んで枝分かれした質問を辿る診断は、あなたもある程度したことがあるでしょう。『あなたを守ってくれる守護霊はだれ?』という、若干当時の私も重複を感じた項目だったのですが。「朝起きて最初にするのは?AはみがきB朝ごはん」とか、「好きな色は?AピンクB水色」とか、そういった質問が並んでいたような記憶があります。最後の質問が、こびりついています。「恋をしたことはある?AあるBない」。私はAでした。次のページに進み、私の結果であるCを見てみると。「金髪の少女の人形」と、POP体で書かれていました。そして、その横に載っていた写真は、私の記憶だと、金髪の少女の人形ではなく。当時私が好きだった、肩までの綺麗な黒髪を風に揺らして笑う、先輩の写真でした。
もう先輩の顔を忘れてしまいそうで怖いんです。あの雑誌(おそらく『あなたの霊感が丸わかり!?-守護霊うらないつき♡』というようなタイトル、黒い背景に白いPOP体をピンクでふちどった見出しを並べたもの、その間から目が覗いている)に心当たりのある方は、どうか私に教えてください。
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以上が、私の友人の元に届いた文章です。
探してあげてください、可哀想じゃないですか。


























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