最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びる訳でもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
ーーーC.ダーウィン(1809年-1882年)
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8月21日 AM2:50頃。
宮田悠介の運転する車は、尾久根山へ向かっていた。
昼間はいつも渋滞するこの県道も、さすがに丑三つ時は車の台数はまばらである。
悠介は運転中、気が気でなかった。
深夜の慣れない運転が彼をそうさせるのではなく、これから向かう場所が“曰く付き”である事が明白であったからだ。
「なぁ、本当に行くのかよ?」
悠介は溜息混じりにそう言うと、ルームミラー越しにちらっと後部座席を見る。
後部座席でくつろいでいる高木圭太と進藤結衣は、あっけらかんとした様子だ。
「そんなびびるなよ。肝試しくらいどうって事ねぇよ。」
圭太の言葉に、結衣が同調するように笑うと、その様子に少し苛ついた悠介が口を開く。
「尾久根山って、さすがにヤバイだろ。あの、尾久根事件があった所だぞ?タブー中のタブーで有名じゃん。ここらじゃ誰も近づかないぞ」
「ああ、幽霊がうようよいるって話だ。俺達で実証しようぜ」
意に介さず、圭太は笑いながらそう言うと、煙草に火をつけた。
俺は知らないぞ、と悠介は念を押すように呟き、アクセルを踏み続けた。
尾久根山の入り口に着いた3人は、車を降りると大きく伸びをした。
あたりはシンと静まり返っており、時折夜鳥の不気味な鳴き声がこだまする。
8月とはいえ、この時間では随分と涼しかった。
山中へと続く階段の途中、巨大なフェンスが行手を阻む。
3人は山へ入ると、黙々と道を進んだ。
月灯りがあるとは言え、辺りは真っ暗であったが、尾久根山は元々有名な工場があり、幸いな事に道は所々舗装されており、歩きやすい。





























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