これは、僕の叔父が実際に経験した話です。
当時、叔父は怪我でとある病院に入院していました。
ある夜のことです。ふと目が覚めた叔父は、少し気分が悪かったこともあり、一服しようと部屋を出ました。
深夜の病院。薄暗い廊下をトコトコと歩き、自販機で缶コーヒーを買います。
500円玉を入れ、ガコンと落ちてきたコーヒーを拾い上げると、叔父はそのまま1階の喫煙所へ向かいました。
10分ほど経ったでしょうか。
タバコを吸い終え、コーヒーを飲み干した叔父は、部屋に戻ろうとエレベーターに乗り込みました。
「2階」のボタンを押し、扉が閉まる。
スーッ……と、エレベーターが上がり始めます。
……しかし、止まりません。
2階を過ぎ、3階、4階、5階……。
「おい、嘘だろ」
叔父の焦りを余所に、表示灯は無機質に数字を刻み続け、ついに「6階」で止まりました。
チーン。
静かに扉が開くと、そこには真っ暗な廊下が続いていました。
静寂の中、どこからか声が聞こえてきます。
「はははははははははははははははは!」
子供の笑い声でした。
目を凝らすと、廊下の奥から小さな男の子が、狂ったような笑顔でこちらへ猛ダッシュしてくるのが見えました。
(やばい、やばいやばいやばい!)
叔父は半狂乱で「閉」ボタンを連打しました。
けれど、扉は一向に閉まりません。
男の子はすぐそこまで迫っています。
「ヤバイヤバイヤバイ……ッ!」
祈るような気持ちでボタンを押し込むと、ようやく、扉がゆっくりと閉じ始めました。
閉まりきる直前、叔父は「助かった……」と安堵しかけました。
その、瞬間です。
隙間に男の子の手が滑り込み、叔父の腰を「ガッッッッ!」と力任せに掴みました。
至近距離で、少年が言いました。
「……つかまえた」






















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