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不思議体験

223さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

レッドライダー(仮称)
短編 2025/12/15 23:10 87view

戦争から兵士が帰ってきた、いや逃げてきたのだろう。身体は痩せこけ、目は遠くをみているような、いわゆる極限状態だったのだろう。激しい戦火から逃げた彼は狂ったようにこんな言葉を言っていた「あの場所で悪魔を見た」と、当然耳を貸すものはいなかった、「よくある睡眠不足とストレスによる幻覚だ」軍医達の意見は皆そうだった、彼らは何も間違えてはいなかった、軍医達は仕事をしただけだ、だがそれ以来しきりに同じ話が度々様々な兵が言うのだ、「戦地で悪魔を見た」と、塹壕から、山から、海から、この世の地獄から逃げた兵達は場所を問わず皆言うのだ。さすがに軍医達も耳を疑った、ここまで多いと何かおかしい、何かあるのでは?だが厄介なことに戦地には当然行けるわけもない、まともな兵でも居ればよいのだが、まともだと判断された兵士たちはもうほとんど死んでるのだ、冷静に規律を重んじ任務を遂げた兵たちは皆戦地に残ったのだから。

悪魔を見た者だけが生きているのだ。

ただの偶然なのだろうかそれとも神の気まぐれなのだろうか、悪魔は「己が欲を満たさぬ者を戦地からつまみ出した」のか「一人でも戦火から逃がそうとした」天使だったのか

結局答えはわからず戦争は終わった、記録は閉じられ証言は整理されこれは戦争病の一種だと認定された、そうでもしなければまた新たな疑問が生まれてしまうから、その病名は黙示録に出てくる戦争、内乱を司る天使から「レッドライダー」と名付けられた、一つだけわかるのは「レッドライダー」を見た者達だけだった、帰ってきたのは。

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