みなさん
学生時代の林間学校にどんな思い出がありますか?
好きな子と一緒の宿に泊まれてドキドキ♡とか
キャンプファイヤーでマシュマロを焼こうぜ!とか
こっそりゲームを持ち込んでマ◯カーしないか?とか
まあ楽しい思い出なんじゃないですかね。
うらやましいことです。
そのゲーム、教師に没収されたらいいんです。
それにひきかえ私の林間学校といえば、それはもう酷いものでして……
……旅の予定表によれば、すでに旅館に着いているはずだった。
しかし、なぜかバスは鬱蒼とした樹木に囲まれた駐車場に停まっていた。
そしてバスから降ろされた俺たちは、担任教師によって全員並ばされた。
「おい お前ら先頭から順番にコレ回していけ!!」
強面担任が掲げた右手には、五寸釘が胸に刺された藁人形が握られていた。
全く意味が分からない。しかし日頃より担任の恐怖政治に染められ得たクラスメイト達は、従順に藁人形を回せざるを得なかった。淡々とクラスメイト達の手を渡っていく藁人形。
そしてついに俺の番がきた。
不気味なそれを恐る恐る掴んだとき、とてつもない吐き気に襲われ、ガクンと地面に膝をついてしまう。
「ほーう。ドンドン回していけ」
どうやら他のみんなは平気らしい。
「それじゃあみんな〜 旅館まで歩こうね〜」
うずくまっている俺を尻目に、副担任の教師が、他のクラスメート全員を連れていってしまう。
駐車場には、俺と担任の二人だけが残された。
「おまえはこっちだ」
担任に腕を掴まれ、皆とは別の道へと、というか森の中を分け入るように無理矢理歩かされる。
暫くして薄暗い森を抜けると、そこには広々とした河川敷が現れた。
え?もしかして俺、流されるんか?
先日の進路相談で、この担任に反逆したことが脳内で逡巡される。
しかしながら河川敷には、派手なカラーのテント器材が不自然にポツンと置かれていた。
「おまえ、素行不良とか諸々で、留年を繰り返しているな」
「はい」
「おまえ、いまいくつだ」
「前厄です」
「は?」
「……ついに24歳になりました。」
「だよな……これがおまえのホテルだぜ。」
そう言い残して担任は去っていった。
担任が去ったあと、俺はただただ川の流れを眺めるしかなかった。























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。