大学二年生の頃の話です。
よくつるんでいた友達三人と私、全員お酒を飲める年齢になったということで、
ありきたりですが宅飲みをすることになりました。
午後九時あたりから飲み始め、下品な話で盛り上がったり、愚痴を言い合ったりしました。
それも午前二時ごろには一人は爆睡、また一人はスマホに夢中。かくいう私も眠気をこらえながら、
起きている二人と会話をしていました。
とはいえ話題も尽きてきたところだったので、サブスクで映画でも見ようという流れになりました。
レビューが高くて、なんとなく良さそうだから。という理由で戦争映画を選んだのは友達のF。
Fは皮肉屋というか、常に斜に構えているような奴でした。
私は内心、こいつと映画を見るのか、と少し気が重いところがありました。
ところが映画が始まるとFは食い入るように視聴しており、それどころか感動して涙を流し始めました。
私がうつらうつらとしながらも驚いていると、映画では子供が深い悲しみに沈むシーンになりました。
できることなら、俺が今すぐ代わってやりたい。
Fがぽつりと一言こぼしたその瞬間、画面はその子供のカメラ目線で停止しました。
誰かが再生を止めたわけでもない。読み込み中の円も表示されていない。
五秒ほど経ったところでシーンは変わり、私の眠気も限界に。
皆が目を覚ました時にはもう午前十時になっており、飲み会はお開きに。
それからというもの、Fの様子がおかしくなりました。
おかしい、といっても悪いおかしさではなく、これまでのFからは考えられないほどに
快活で、素直で、優しく気配りのできる奴になったのです。
周りからも、まるで人が変わったみたいだな、なんて言われていました。
最近、例の映画がSNSで少し話題になったようです。
オンラインの友人からウォッチパーティをしようと誘われましたが、
なんだか嫌な感じがするので、誘いは断るつもりです。
























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