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不思議体験

belmoさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

告げられた言葉
短編 2025/08/14 00:42 2,750view
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私は大阪に住む40後半のおばちゃんです。
同い年の夫と一緒に、住宅街にある一軒家に住んでいます。
息子は二人とも社会人となり、上の子は結婚して他県へ、下の子は勤め先の寮に住むようになり、家はすっかり寂しくなってしまいました。

 
子供達も立派に巣立ち、大仕事を終えた私たち夫婦は、これからのんびり暮らそうねと笑い合っていました。

 
平和な生活が続いていた頃、貸物件だったお隣の家で契約が決まり、どなたかが引っ越してくることになったようです。
 
 
数日後、お隣さんが挨拶に来られました。
旦那さんは仕事なのか、若い女性が一人で赤ちゃんを抱いていました。
 
話を聞くと、旦那さんは多忙であまり家に帰って来ず、基本的には奥さんがワンオペで子育てをしているそうです。
 

困ったことがあったら遠慮なく頼ってねと伝えると、奥さんは嬉しそうにありがとうございますと深々と頭を下げているのが印象的でした。

 
それから三ヶ月ほど経つと、お隣さんのよくない部分が見えてくるようになりました。
 
例をあげると、回覧板を回すのが遅い、ゴミの日に出すゴミ袋が破れている、溝掃除などの町内活動に全く参加しないなどです。
 
特にゴミ袋の件は、ウンチを包んだオムツが中に入っているためか、小バエが集り悪臭もかなりのもので町内会で話題になってしまいました。
 
しかし、私は事情を知っていましたし、出来る限りの手助けをしてあげたいと思いました。
 
自前のゴミ袋で二重にしてくくったり、その時町内会で役員をしていたので、皆に事情を説明して大目に見てあげてほしいとお願いしたりしました。 
 
そのうち段々と目立つ行動はなくなり、町内でも少しずつ受け入れられている雰囲気を感じていました。 
 

 
そんなある日、
お隣さんがやはり奥さん一人で来られ、赤ちゃんを一日預かって欲しいとお願いしてきました。
 
暇を持て余していた私は二つ返事で了承し、久しぶりの育児にワクワクしていました。
 
しかし、この子が非常にヤンチャな子で家にあるモノを掴んでは投げ、掴んでは投げ、挙句に私に当たるとキャッキャっと嬉しそうに笑うのです。
 
これはお隣さんも大変だわと思いつつ、百戦錬磨のおばちゃんはそんなことではビクともしません。
手の届く範囲にあるモノをひたすら棚の中にしまい、柔らかい当たっても痛くないものだけをわざと転がしておき、ダメージを最小限に抑えて全力で遊んであげました。 
 
そんなこんなでハードな一日はあっという間に過ぎ、日が落ちる頃にはウトウトとし始めたので、昔使っていた子供用の布団を出して寝かしつけると天使のような顔で眠りにつきました。 
 
しんどかったけど、この顔見たら全部許しちゃうのよねと懐かしい気持ちに浸りながら振り返った時でした。 
 
  

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