女神おじさん

空前絶後のオカルトブームが来てる僕は、合コンで知り合った女性達に、自慢の怪談を披露したり、逆になにか怖い体験をした事はないかと聞きまくっているのですが、今回はそこで聞けた珍しいタイプの怖い話を1つ。

その日合コンで出会った女性は2人組でした
2人は同じ小学校に通っていた幼馴染で、今回紹介する話はその学校の七不思議のひとつ。
2人が時々、そんなことあったっけ？とか、あ！そうだそうだ！とか、相槌を打ちながら語ってくれたので、かなり信憑性高いかもしれませんね。

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「ある条件を満たすと、体育館に女神おじさんが出現するんです。条件はちょっと……なんだったったか忘れたんですけど……」

そして、その女神おじさんに、「飽きたよ。」と言うことで、女神おじさんが特殊能力を授けてくれる。という七不思議です。
見た目はおじさんだけど、特殊能力を授けてくれる女神だから、「女神おじさん」って呼ばれてました。
私達が小学校にいた6年間で、女神おじさんに出会えた生徒が3人いました。

1人目はちょっと天然気味な男の子。仮に、ゆうま君としましょうか。

ゆうま君が授かった能力は、「鉛筆の芯をとがらせる能力」です。
ぶっちゃけしょぼいなと思いました。実際しょぼかったですし。ゆうま君が左手で念じると、確かに、ほんの少し鉛筆は尖ってましたね。ほんの少し。

2人目はちょっとドン臭くて運動神経の悪い男の子。仮にそうた君としましょう。そうた君が授かったのは、「鉄棒が上手くなる能力」です。運動音痴の彼でしたが、能力を授かってからは別人のように鉄棒が上手くなりましたね。でも、プロレベルとかじゃなくて、ほんと、クラスで一番上手いかなぁ？くらいです。

そして3人目｡ちょっと内気で、いじめられっ子のさきちゃん。この子の能力は他の2人とは比べ物にならない能力で、「空を飛ぶ能力」を貰ったって言ってました。でも、肝心の本人は高所恐怖症だったし、内気な性格もあって、空を飛ぶところは見せてくれませんでしたけど。

ここまで聞くと、いい七不思議だと思うでしょう。でも、ここからが本番ですよ。
このゆうま君、そうた君、そしてさきちゃん。この3人は、それぞれ、左手切断、脳に後遺症、そして行方不明になります。

まずはゆうま君。ある日、確かテストの日。
必死になって答案を書いていたゆうま君でしたが、うっかり鉛筆が左手に刺さってしまいました。
すると、今までほんの少ししか尖らせられなかった鉛筆の芯が、一瞬にして急に尖り、伸び、巨大化し、ゆうま君の左手を貫通。そのまま勢いを止めることなく、鉛筆はより大きく、より鋭利に、そして凶悪な形へと姿を変えたというのです。
真っ黒な”扇子”が、ゆうま君の左手から生えてきたかのように見えました。

ゆうま君は泣き叫んで、机、答案用紙は血みどろになりました。一瞬にしてパニックなった教室、慌てる先生。
救急車が学校に来て、それはそれは大騒ぎでしたよ。結局、ゆうま君は左手を失う大怪我を負い、心にも深い影を落としてしまって、転校しました。その後、ゆうま君がどうなったかは誰も分からないです。

2人目。そうた君。彼は自分が鉄棒上手になったのがとても嬉しくて毎日、昼休憩の時間になったら鉄棒の所へ走り、ずっと逆上がりしてました。嬉しそうな顔がすごく印象的で、よく覚えてます。
それである日、昼休みが終わり授業が始まっても、そうた君が席に居ませんでした。
それで、校庭に探しに行った先生が、もの凄い光景を見たんです。
鉄棒にぶら下がり物凄い勢いで回転する”何か”……そう。そうた君です。『誰かー！止めてー！！』そう叫び声が聞こえた先生は慌てて止めに入りますが、先生を吹き飛ばす程の勢いでまわり続け、ついに声も聞こえなくなって、自然と止まりました。
そうた君は顔面蒼白。白目で泡を吹いて失神。すぐに病院に連れていかれましたが、脳に重大な後遺症が残り、植物状態になりました。

そして最後に三人目のさきちゃん。
さきちゃんはみんなの前で能力を使ったことがなかったのですが、ある日突然学校に来なくなり、そのまま転校に。さきちゃんと仲が良かった子に聞くと、さきちゃんは行方不明になった。と……
ゆうま君と、そうた君の前例から、みんなすぐに察しましたよ。
『さきちゃんは、空を飛んで、”降りれなくなった”んだ』って。
それから暫くして、さきちゃんは家から遥か遠く離れた海岸に打ち上げられた状態で発見されたそうです。水死体となって。さきちゃんの遺体は、物凄く高いところから水面に打ち付けられたかのように、骨がバキバキに砕けていたそうです……