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呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

見返してくるもの
短編 2025/07/18 09:54 1,791view

夜はいつの間にか深まり、ファミリーレストランのざわめきも徐々に薄れていった。
我々大学のサークル仲間は、先輩の一言に不意を突かれ、どこか冷たい空気の中で身を縮めていた。

「変な話って、身に覚えがないと信じられないもんだよな」

その言葉は、あたかも空間の隅から静かに忍び寄る影のように、重く沈み込んだ。
彼の瞳はどこか遠くを見つめており、言葉の一つ一つに、見えない恐怖が滲んでいた。

「俺、最近ずっと“見られてる”気がしてるんだ」

最初は冗談か、酔いのせいかと思った。だが彼の表情は真剣そのものだった。

「誰かが俺をつけてるのか、ストーカーかと思ったんだが、違うんだよな。
いや、視線だけが俺のあとから追いかけてくる感じっていうか……」

その“あとから”という言葉が、重く不吉な響きを伴い、私の背筋に冷たいものを走らせた。

彼の住むアパートの廊下。
夜遅く帰宅すると、必ず誰かが覗いているような気配がした。
踊り場の影、エレベーターの鏡の中、部屋の前の郵便受けの隙間。

そこに人影はない。
しかし、そこに確かに“何か”が存在しているのだ。

彼は何度も振り返った。
だが振り返るたびに、そこには誰もいなかった。

「最初は気のせいかと思った。
でも、最近スマホに妙なものが映るようになって……」

彼はスマホを取り出し、画面を見せてくれた。

そこには、彼が深夜、自室で寝ている様子を映した動画があった。
録画の開始ボタンなどは押されていない。触った痕跡もないという。

しかし、カメラの位置は妙だった。
彼の顔のすぐ真上、ベッドのすぐ脇から撮影されていた。
だが、その場所には彼の部屋にそんな高い場所も、設置場所もないはずだった。

そして画面の片隅に、不気味な白く細長い影が揺れている。
それが「目」なのか「指」なのかは定かではない。

その影は、ゆらゆらと揺れながら、じっと彼を見つめていた。

「一番怖かったのはな……」
彼は言葉を詰まらせた。少し間を置いてから、続けた。

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