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ヒトコワ

ナンニンさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

副作用
短編 2025/07/15 21:04 2,682view
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私は、人間ドックで指摘を受け、精密検査を受けることになった。
内容としては、大腸にポリープが見つかって、良性っぽいが、とにかく摘出することが必要とのことで、専門の医療機関を受診することになった。結果は残念なことに悪性で、いわゆる大腸がんであった。
入院して手術を受けるこちになった。手術は無事に成功したが、その際にリンパへの転移があったとのこと。入院中その説明を聞いた時には大したことはないだろうと考えていたが、退院後に受信すると、リンパへの転移はステージ3に該当しガイドラインでは、抗がん剤治療が推奨されているとのこと。
私「治療は受けたほうがいいですか?」
医者「治療には副作用などのリスクが伴いますから、あくまでご自分での判断になります。」とのことで、どっちなんや~!みたいな返答で、治療を受け入れないと仕方がないと思って抗がん剤治療を始めました。
その際、医者や看護師から副作用について様々な説明を受けました。ある意味、この治療を受けて大丈夫かと思うぐらい、副作用について話されました。
家に帰って、妻にその経緯を話すと「知り合いも昔、副作用で苦しんでたわ。」とのこと。

治療が始まりました。
まず点滴を3時間ほどしました。後は、朝晩の服薬です。

初日は腕が痛かったり、食事をとると耳の後ろが強烈にいたくなったりしました。また冷たいものが飲めなくなるとのことで水分はお湯で取りました。

治療から数日たって、妻が「あんまり副作用出てないみたいやけど薬きいてるの?」
私「多分、きいてると思うけど、それはわからんわ。」

妻「副作用出るって言うてたのに、あんまりたいしたことないってどういうことなん?」

私「それは、個人差あるし、今回は1クールめやし。副作用が出てないのはいいんと違う?」

妻「私の知ってる人はもっとしんどそうやった。薬がきっと効いてへんねんやわ。今度病院行ったときに言うてみたら」

この治療は2週間、薬を飲んで1週間休みのサイクルといった治療。

特に副作用もなく1クールが終わり、1週間の服薬が休みの入った時に、近々、海外に移住予定の娘と万博行きたいと話をしていました。そのことを妻に相談すると

妻「余命が2か月とかの人が言うのはわかるけど、副作用があんまり出てないからって調子にのってない?」
私、「余命2か月の人は体力的にどう考えても無理やろ。今は元気やから行きたいねん」との思いを心の中にしまい込みました。

そして2クールめに入りました。

が、副作用が出ません。

妻「なんで、副作用が出ないの??」

私「個人差あるから。でも副作用が無いので気は楽やけど。」

妻「こっちは気が重いわ。副作用があるっていうから、そのつもりしてたのに」
(そのつもり?)
3クールめ

抗がん剤の点滴を受け服薬を始めたが相変わらず副作用がでない。

妻「副作用!副作用!副作用!」

4クールめ

しんどい

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