床下から
投稿者:藍咲 青 (11)
数年前、先輩とそのお兄さんから聞いた話です。
先輩のお兄さんの転勤が決まり新しくアパートを借りる事となりなるべく家賃を抑えたいと考え少し古めのアパートへの引っ越しを決めたそうです。築30年位の2階建てのアパートで家賃が月6万円程、更に大家から「この部屋の人ね2ヶ月くらい前に夜逃げしちゃってさ荷物もそのままで困ってたの、片付け手伝ってくれたら家賃下げてあげるから」と申し出がありお兄さんは一も二も無くその申し出に飛びつきそのアパート1階の夜逃げ部屋に引っ越す事にしました。
夜逃げ部屋への引っ越しから数ヶ月が経ち生活も落ち着き始めた頃に異変が起きました。お兄さんが部屋で寛いでいると床下から『カリカリ、ガリガリ』と何かを引っ掻くような音が聞こえ「ネズミか?古いから入ったのか?」と思いながら床を叩くと音が止んだ為、その日は気にせずそのまま寝たそうです。ですがその日を境に床下からの音が頻発するようになり段々とイラついてきたお兄さんは大家に相談する事にしました。そして数日後、業者がやって来て床下の調査が始まりました。床下には動物が入った痕跡が無くその代わりに大きめの衣装ケースが押し込まれていたそうです。
その場にいた全員の脳裏に嫌な予感が過ぎったそうですが大家が「ひとまず開けて中身を確認しなきゃ」と言いケースを開封する事に。ケースの中にはブルーシートに包まれた物体が入っていて更にシートをめくると異臭を放つ毛布、そして毛布の中には女性が膝を折り曲げた状態で横たわっていたそうです。女性の発見からすぐ警察を呼び聴取と現場検証が始まりました。
警察の聴取に応じていると鑑識の人が「なぁ兄さん、本当に床下から音聞こえたん?」と床板を持ってきて尋ねてきたので「間違いなく聞いた!!何回も!!」と返すと「そうかぁ···まぁとりあえずコレ見てみ」と床板を指差すとそこには無数の引っかき傷と乾いた血液と思しき黒く縦に伸びた染みが。息を呑み言葉が出ずにいると鑑識さんは「あんま大きな声で言えないけどコレ引っ掻いたの多分この人だよ、助けて欲しかったんだねきっと」と、そんな訳ないと否定するより先に「分かるよ信じられないよな。でも稀にあるんだよ『こういう事』って」と苦笑いしてたそうです。そして鑑識さんの言葉に続くように「なら悪いけど音じゃなくて臭いで気付いたって事にしてくれるかい?このままじゃ調書に書けないからさ」と刑事に言われ呆気に取られながらも頷くと「話が早くて助かるよ。まぁ悪いようにはしないから」と言って聴取を終え帰って行ったそうです、そしてお兄さんはその日の内に友人の家に避難し引っ越しの準備を進めたそうです。
それからしばらくして警察から連絡があり犯人は床下に押し込まれた女性の恋人であり彼女の妊娠をきっかけに口論に発展、そしてカッとなり殺してしまい隠滅の為に床下に彼女を隠したのだと教えられたそうです。
この話を語り終えたお兄さん達は「お前も部屋借りる時は気ィ付けろよ!誰かが床下かどっかで助けを求めて待ってかもだからよ!」と青い顔をしながら笑っていました。
ちなみにですがこのアパート、現在も絶賛貸し出し中で他の部屋よりも家賃が安くやけに内装が綺麗な部屋になっているそうです。
( ゚д゚)。
事故物件と心理的瑕疵物件は同じ意味やから、よく覚えておきな(*´∀`)。
( ゚д゚)。
怖ーい!