【short_61】汚いぬいぐるみ
投稿者:kana (210)
3年付き合った彼と別れた。彼とは結婚を前提にお付き合いしていたが、
付き合っているうちに彼の子供っぽさにあきれたのだ。
男のくせに【ぬいぐるみ】が好きで、家の中にとどまらず、
とうとうクルマの後ろにもたくさん並べはじめた。
ある日、彼の家を大掃除した。
ゲーセンでとってきたような安っぽいぬいぐるみを全部捨て、クルマの中からもぬいぐるみを一掃し、部屋にあったボロ雑巾のように汚いクマのぬいぐるみも捨ててやった。だが、それが元で大喧嘩となり、とうとうこっちも堪忍袋の緒が切れた、・・・というわけ。
私にはすぐに新しい恋人ができた。
優しい彼は、結婚相手としても最良に思えた。・・・その日までは。
ある日彼のクルマに乗ると、後部座席に何か置いてある。
見るとそれは、以前捨てたはずの、あの元カレの汚いクマのぬいぐるみであった。
彼曰く、道端に落ちていてかわいそうなので拾ってきたのだと言う。
そんなわけがあるか?私が捨てたはずのぬいぐるみが今、目の前に戻ってきているのだ。
【・・・私はすべてを察した。これは呪いなのだ。・・・】
ぬいぐるみに執着する元カレの心が、呪いとなって私に復讐しに来たのだ。
アイツの嫉妬の呪いが、私たちの幸せを妨害してくるのだ・・・と。
私は今カレにそのぬいぐるみが欲しいと懇願し、もらい受けた。なぜかって?
これは呪いなのだ。捨てようが燃やそうが、呪いは断ち切ることができない。
何をしたってこのぬいぐるみは私の前に戻ってくることだろう。
だが、ひとつだけ方法はある。それは呪いの根源を消すことだ。
呪っている人間が死んでしまえば、このぬいぐるみもただのゴミとなるだろう。
私はバッグに出刃包丁を忍ばせ、元カレの家に向かった。
「人を呪わば穴2つ。おまえの腹をかっさばいて、このぬいぐるみを埋めてくれよう」
ε=(ノ゚Д゚)ノ