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妖怪・風習・伝奇

アオゾラ カナタさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

虫と友人と過ちと
短編 2024/01/10 18:52 1,135view

「ほ……本当にいくのかよ……」

僕は友人に無理やり肝試しとしてある森の奥にあるボロボロな屋敷に向かっている。友人はオカルトが大好きで肝試しをよく行っている、そして僕は毎回付き合わされている。今回の目的はその屋敷に不気味な少女が出る噂がありその少女の写真を抑えることらしい。

「大丈夫だって、今回は信憑性が低いからお前のオカルト克服にピッタリだよ」
「いや、オカルトは良いんだよ。僕が嫌なのは……」

と言っていると足元が急に痒くなった、痒くなった足を見てみると大きなゴキブリがくっ付いていた。「イヤヤーー!!」僕は悲鳴を上げると持参している殺虫剤を吹きかけた。強力な殺虫剤なのですぐに苦しみ出したゴキブリを僕は同じく持参していた新聞紙で何度も叩き潰した。もうわかったであろう、僕は虫が大の苦手なのだ。
「相変わらずいい反応するな」っと友人が笑いながら話しかけてくる。彼のこういう所が嫌いだ、でも学校で1人ので過ごしている僕に話しかけてくれるのは彼だけなので何があっても絶交だけはしない。僕の唯一の友人だからだ。

僕は殺虫剤と新聞紙でもう何匹か殺しながら友人と一緒に目的地である屋敷についた。僕は虫に怯えながら行動していたのでもうクタクタだ、できる事ならすぐにでも帰りたい。でも万が一噂が本当だったら友人が危ないで共に屋敷の中に入った。友人を守るために……

屋敷に入って探索をするが少女の姿は発見出来なかった。今回も特に何もなかったっという結論を出し屋敷の出口に向かった。だが出口の前でとある異変が起こっていた。
出口の前にゴキブリやムカデ、クモなどの沢山の虫が出口を占拠いていた。虫嫌いな僕にとっては最悪な状況だ。だが僕はそんな事がよりも目に入った出来事があった。虫の群生の上に黒髪の少女が浮いていた。その少女は噂とは裏腹に何処か綺麗な姿をしていた。顔がクモのようになっている事を除いて……

「ねぇ……あれって……」
「これは虫平気な俺でも気持ち悪いな、殺虫剤貸してくれ、俺がやるよ」
「え……見えてないの……」

友人はその答えに対して不思議そうに首を傾げた。どうやら友人はクモの顔の少女の姿が見えていないようだった。僕は友人を守ろうと腕を引っ張ると少女は僕の方に指を指し何か言い始めた

「ヲミシルクウナシウヲマカナ、二エマオ」

なんて言っているのかよくわからなかったが、ものすごく嫌な予感がする……
すると突然地響きが聞こえた。出口を占拠していた虫たちは隙間という隙間に入っていなくなった。気が付くと少女の姿もなくなっていた。そう思った瞬間だった地響きは止まり出口から黒い影が現れた……僕と友人は息を飲みこみその正体に恐怖していた。
腹に複数の人の顔がついた巨大な虫の怪物だった。僕は恐怖で腰を抜かしていると友人が僕を引っ張って走った。巨大な虫も当然追いかけてくる。何とか振り切ると友人は古びた物置部屋に僕を入れて「しばらくしたらここを出て先に森を出ろ!」と友人が言うと扉を閉めて走っていった。巨大な虫の足音も友人が走っていった方向に響いて去っていった。僕はようやく冷静になり頭を整理させた。色々考えたが友人の言う通りここから逃げようと立ち上がった。すると足元に斧が倒れて来た。僕はそれを見て思いとどまった。

唯一の友人を置いて逃げるのか?自分だけ助かろうとしているのか?そんな事したらどうなる、僕は1人ぼっちになるじゃないか!逃げるな!立ち向かえ!僕は斧をもって物置部屋を出て友人を探した。

僕は友人の名前を叫びながら屋敷を走り回った、巨大な虫に見つかるリスクは当然あるが見つかっても逃げない!この斧で立ち向かう!僕は強く決意をして走り続ける。しばらく走っていると暗い部屋についた僕は走るのを一旦やめて周りを警戒しながら歩いた、何処からでもこいっと気を引き締める。すると目の前に人の顔が見えた。暗くてよく見えないが間違いないあの巨大な虫だ!僕は咄嗟に斧を縦に振りかざした。グシャリと音を鳴らしてその後すぐ倒れる音がした。「や…やった」僕は喜びながら屋敷をまた走り始めた。
何処かにいるであろう友人を探して声を上げながら走った。しかしどれだけ探しても友人は見つからなかった。先に森を出たのかな?僕はそう思い屋敷を出てそのまま森を抜けた。ここなら携帯の電波も入るだろう。そう思い携帯を探すが見つからなかった。屋敷を無我夢中で走っていたので何処かで落としてしまったのだろう。僕は仕方がないと思いそのまま自宅に帰った。

次の日の朝僕は学校に沢山のお菓子をもって来た。これで友人とまた楽しく話そう。今回の件で友人も当分は肝試しには行かないだろうなぁ。そう思って友人が来るのを待った。けれど今日、明日、明後日、何日立っても友人は来なかった……

僕はとんでもない事をしてしまったと気が付くのは、まさかと思い再びあの屋敷に戻った時であった……。

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コメント(1)
  • ぐしゃりと音をたてたのは友人だったのですね(‘_’?)

    2024/01/10/19:42

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