猫になった友達
投稿者:藍咲 青 (11)
昔、先輩から聞いた話しを書かせて頂きます。
先輩が子供の頃の話、先輩は幼い頃母親を亡くしており父子家庭で育ったそうです。そんな辛い中でも友達ができ、特に仲良くなった子がいたそうです(以下K君とします)
K君は先輩と同じ父子家庭の子でしたが、その父親が超が付く程のクズ、定職に就かず酒浸りで暴力を振るうような人物だったそうです。そんなK君との帰り道、捨て猫を見つけた2人「家で飼えないかお父さんに聞いてみる」とK君は箱に入った猫を抱え自宅へ。ですが父親の返答はNO、その上「こんなモン拾って来やがって誰が金出すと思ってるんだ!」と大激怒。そして「捨てて来ないと家には入れん!」と2人を外に追い出しました。「どうしよう」と途方に暮れていると「もう1回お父さんに頼んでみる!」とK君は言いその日はそのまま別れました。
その翌日K君は学校に来ていなかった。担任が父親に連絡するも「あんな奴知らん」と一蹴、放課後担任がK君宅へ行き事情を聞くと猫を捨てきれず家に戻って来たK君にブチ切れて猫を近くの川に投げ捨てそして猫を助けに川に入って行ったきり家に帰って来なかったと父親は話しており「アイツが悪い、俺は関係ない」と終始喚いていたそうです。それからすぐに警察に通報し捜索が始まりK君は冷たい川の底から見つかりました…。
K君の葬式中父親は「俺は関係ない悪くない…」とずっと繰り返しており、近所の人やクラスメイトの親達、学校の教員達に責め立てられても「アイツが勝手に死んだだけだ!迷惑被ってるのは俺なんだ!」と喚くばかり。結局、式が終わりお骨にしてもらってる時も息子の為に涙を流すことは一度も無かったとのこと。
K君の葬式からしばらく経ち先輩が一人学校からの帰り道を歩いていると何処からか猫の鳴き声が聞こえ周囲を探すと黒い子猫が鳴いていた。人懐こいのか足元に頭を擦りつけ喉を鳴らしている。しばらく猫を撫でながら「何処から来たん?」とか話し掛けていると自分でもよく分からないけどその子猫からK君の気配のような物を感じたそうです。そして「お前もしかしてKか?」と尋ねると子猫はどこかへと歩き出し先輩も急いで後を追うと異変に気付いたそうです。夕日に照らされ伸びた影は子猫の形ではなく人の形をして立っていてその影は間違いなくK君そのものだったと先輩は語っていました。
この出来事から数日後、K君の父親はノイローゼになったのか酒瓶と包丁を振り回しながら「そこに猫がいる!俺を殺しに来やがった!」と半狂乱で暴れだし度々、警察に連行される事があったとのこと。その後しばらくして自宅で首を吊り自殺を図ったそうです。その死に様は酷いもので目を見開き何かを叫んだのか大きく口を開け舌が根元まで飛び出ており、首に巻き付いたロープを外そうとしたのか喉元に無数の引っ掻き傷があったと近所の方から聞いたそうです。
この話を語り終えた先輩は「今でも後悔してる悔やんでも悔やみきれない」と言っており「アイツを自殺に追い込んだのって猫の恨みなのかそれとも幽霊になったKが父親を殺したのかな」と小さく呟いていました。
猫が仇を取ってくれたんじゃないでしょうか。
とんでもない父親でしたね。
こんな父親は要らんな。