絶対見えない
投稿者:haruton (25)
短編
2023/07/07
00:30
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これは母から聞いた話。
当時も母は勤務時間が終わると、徒歩で最寄り駅に入り、改札口を通ってホームで電車を待っていた。いつも通りの日常。
やがて電車がホームに入り、中の乗客が出ていくと母は空いた席に腰をおろした。ふぅと息を吐くと、電車の窓から……一人の女性が目に留まった。
その女性の何に目を留めたかというとーー。
顔が…髪の毛に覆われていたーーという表現が正しいのか分からないが、その女性の顔がーーとにかく見えなかった。
普通、横から見ても人の肌というのは見えるものだと思うのだが……肌すら見えなかったのだ。
怖い。
というのが母の、その女性に対する第一印象だった。
その後も何度か母は、電車から例の女性を見たらしいのだが、ついぞ顔を拝むことが出来なかったという。
私はこの話を聞いたとき、そんなことあるかと思った。自分の目で確認していないのもあるのだが、例え髪が長かったとしても、まったく肌が見えないことなどあるものなのかと考えたからだ。それかその人の髪の量が凄いからなのか……。
しかし母は怯えていた。
「その人、夏でもずっと顔が髪に覆われている感じがして…なんだか怖かった。触れてはいけないと思った」
世の中変な人が割りといるけれど、確かにその女性は異質だなと私も気味悪く感じたのを覚えている。
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あまりジロジロ見ていると、あなた視えているのね?と言われてついて来られそうな感じですね
『絶対見えない』を投稿したharutonです。
そうですね。ジロジロ見ていると向こうに目を付けられそうですね……。
無視が一番ですね。