天井裏には……
投稿者:take (96)
知り合いのJ子さんに聞いた話です。
高校生の時、部屋で本を読んでいると、背後で『ポタッ』と、
小さなものが落ちる音がしました。
見ると、カラカラに干からびた蜘蛛の死骸でした。
虫が大嫌いなJ子さんが悲鳴をあげると、隣の部屋にいた大学生の兄が、何事かと飛び込んできました。
「それ、それ……」
彼女の指を差すものをみて、
「なんだよ、死んでるじゃないか」
と、笑って片付けてくれました。
数日後、学校から帰ってきたJ子さんは、また同じ場所に干からびた蜘蛛の死骸が落ちているのを見つけてパニックになりました。
なぜ、蜘蛛の死骸が、同じところに落ちてくるのだろう、と思いました。そのちょうど真上にルームライトが設置してあります。
もしかして、ランプの裏側に蜘蛛の巣があるのでは、と思った彼女は兄に頼んで、取り外して調べてもらいました。
結果、ルームライトの裏側にも、カバーの中にも、そんなものは見当たりませんでした。
偶然だろうということになったのですが、数日後、また蜘蛛の死骸が落ちていたのです。
これはおかしいということで、父親と兄が部屋を調べ、もしかしたらと天井裏を確認すると、大量の蜘蛛が巣を張って蠢いており、天井裏には死んだ蜘蛛もたくさん落ちていたそうです。
一日がかりで駆除、掃除してからは、彼女の部屋に蜘蛛の死骸が落ちてくることはなくなりました。
「でも……変ですよね。天井裏とつながっているのは、父母の部屋にある押入れからの出入り口だけだったんですよ、もちろん私の部屋を調べても、天井裏から蜘蛛が行き来したり、死骸が落ちてくる隙間なんかはなかったんです」
J子さんは、そう言って寒そうに肩を震わせました。
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