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呪い・祟り

リュウゼツランさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

冗談だよ
短編 2023/02/23 21:57 6,332view
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二十歳になってすぐに車の免許を取った俺は、二歳年下の弟をドライブに連れていった。
たわいもない話をしながら暫く運転しているといつの間にか県を跨いでいて、見知らぬ場所を走っていた。
時刻は深夜1時を過ぎていて人通りは皆無。外灯も少ない細い道だったので、俺の運転も慎重になる。

「あれ墓地じゃない?」

弟が指差した先にはたしかに墓地があった。

「夜中の墓地とかなんかちょっと面白そうじゃん? 行ってみようよ」

特別怖がりなわけではないけれど、幽霊話の類が苦手な俺は渋る。

「やめとこうぜ。なんかヤバそうだし」
「ビビってんの? 超子供じゃん」

そんな風に笑いながら煽られ、たしかに自分でも子供じみてるなとは思いながら墓地の入り口付近に路駐する。

中は至って普通の墓地だった。たくさんの墓石が並び、その前には花やお供物が置かれていて、線香からは煙が出ている。

「もう行くか。別に何もなさそうだしさ」

5月の夜はまだ薄ら寒く、俺は身震いしながら車に戻ろうと促すが、弟は俺の言葉に耳を貸さずにどんどん奥の方まで歩いて行ってしまう。
やれやれと肩をすくめ、仕方なく俺は弟の後を追った。
高校三年になっても落ち着きのない弟を嘆きながら、線香の燃焼時間ってどれくらいだっけとか考えていると、弟は地面から小石を拾い上げ、墓石に向かって思い切り投げ始める。

「ちょ……お前何やってんだよ!」

俺は焦り、弟に駆け寄る。

「ほんと何やってんの。全然面白くねーんだけどそういうの」

詰め寄った俺に振り返った弟は
「あががががががががががががが」

と、身体を痙攣させ白目をむきながら言う。

「うわっ」

思わず後ずさった俺を指差し弟は笑う。

「冗談だよ」

殴ってやろうかとも思ったけど、まぁこいつは小さい頃から悪ふざけばかりだったし、今更腹を立てるのも馬鹿らしいよなと自制する。

「もう行こうぜ」

「あーそうだな。兄貴のビビり顔も見れたしもういいや。思ったよりもつまんないしなーここ。期待外れだったわ夜の墓地」

ここまでの運転のせいもあったのか、俺は急に疲れを感じてしまい、弟を急かしながら車に戻った。

帰りの道中、車内で弟は「あがががが」と何度も繰り返し、俺の驚いた顔をマネして笑っていた。
はいはい、分かった分かったと適当に流しながら二時間かけて帰宅し、その日はすぐに眠った。

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コメント(3)
  • kamaです。切れ味いいですね。とても怖いです。

    2023/02/23/22:04
  • 弟さんは10年も体を乗っ取られているのでしょうか…
    寺社仏閣にお祓いに行かれてみては?

    2023/02/23/23:30
  • ただの男同士の悪ふざけやんw

    2023/03/23/22:38

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