ただの見間違え
投稿者:細雪 (8)
短編
2023/01/29
07:05
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幽霊なんて十中八九は見間違えでしかない。
昨日だって寝起きにベッドから台所にふと目をふけたときに、誰か立っているとビビったが、正体は烏龍茶のペットボトルのラベルだった。いい感じの距離感だったので、寝起きの薄目も相まって、黒髪の頭が浮いているように見えただけだった。
今日は台所の方からの「ばんっ、ばんっ、ばんっ、ばんっ、ばんっ…」という音がうるさくて目覚めた。
まだ暗いが窓の外がなにやら赤くて、メガネをかけてみると自分のアパートが火事のようで火の手が見えた。
やばい、逃げなきゃと思い、急いで貴重品だけもって逃げて、消防へ通報し、やっと一息ついた。
ここまでをみると、台所の異音は守護霊自分を助けてくれたかなと思うかもしれない。
ただ、自分は逃げる時にみてしまった。
台所の下の床で動く日本人形を。どこかに長い髪の一部を引っかけたようで逃げようにも逃げ出せず、這いつくばったまま床を叩いてた。
歯をくいしばって、血走った目で、「ばんっ、ばんっ、ばんっ、ばんっ、ばんっ…」と。
どうせこれも見間違いなのだろう。
しかし、私は部屋に日本人形を置いてなかった。私は一体、何と何を見間違えたのだろうか。
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人形も逃げるんですね。
引っかかってた髪を外してあげたらどうなってたのかな?