伸びてくる首
投稿者:take (96)
私が社会人になって間もない頃の話です。
大学時代の友人Sに実家のほうへ、夏季休暇に泊まりがけで遊びに来いよと誘われました。
風情ある昔の街並みが残るところでしたので観光がてら、
共通の友人3人と車で5時間ほどの道のりを、交代で運転して向かいました。
Sの実家は、江戸時代の広い武家屋敷のようでした。
1日目は風呂や酒膳を振る舞われて、長時間運転の疲れもあって、すぐに寝てしまいました。
翌日、案内するというSが運転するミニバンに乗り、町に出かけました。
Sの彼女とその友達たちと待ち合わせているので、
「可愛い子ばかりだから上手くやれよ」というSの言葉に私たちは浮き立っていました。
車を降りて向かった待ち合わせの場所は、昔の茶屋のような造りのカフェでした。
店先には縁台が置かれてあり、そこに座っている女性たちにSが手を振ります。
手を振り返したのがSの彼女で、会釈している3人が友達でしょう。
ゾクッと鳥肌が立ちました。
彼女たちの後ろに背の高い女性が佇んでいます。
近づくにつれ、その女性は絣の着物姿なのがわかりました。
そして背が高いと見えたのは、首が異様に長かったのです。
目は昆虫の複眼のように真っ黒で、
口が頬の半ばまで吊り上がり、笑っていました。
まずい、と思った時は目が合っていました。
瞬間、妖怪ろくろ首のように女性の首が伸び、こちらへすごいスピードで向かってきます。
咄嗟に瞼を閉じましたが、私の目の前に女の顔があるのがわかります。
『俺たちに構うな!』と心の中で強く念じると『キャハハハハ……』と嘲るような笑い声を上げて
私の体をすり抜けて後方へと飛んでいくのが感じられ、不快感と吐き気が込み上げました。
目を開けると女の姿はなく、気配も消えていました。
その後、1日中体調がすぐれず、
「〇〇(私)さん、静かな人ですねー」と、
女の子たちにイジられ、陰キャポジションになってしまいました……。
『霊感体質』なんていいことありません。
私は、怪奇現象、心霊を見ます👀
前はトイレで断末魔を聞きました