鳥籠から消えた鳥
投稿者:ぴ (414)
片思いをしているときに、好きな人とペットショップに行ってその人の勧めで鳥を飼うことになりました。
実は最初は鳥を飼うつもりなど毛頭なかったのですが、片思い中の彼がすごく鳥が好きな人でインコとかオウムとか実家で飼っていたらしいのです。
一人暮らし中の彼はずっと飼いたい気持ちはあるみたいだけど大家さんがペットを禁止にしているらしく、どうしても飼えないと嘆いていました。
そして思った以上に熱烈に鳥をおすすめされたのです。
私も彼のことが好きだったので、その熱意にほだされてついついペットショップにいた鳥を飼うことになったのです。
ほんのちょっと、彼が家に見にきてくれることを期待した面もありました。
私が購入して飼い始めた鳥は、最初は雛でした。
最初は鳥を飼うことがそこまで大変だと思っていなくて、軽く考えて飼い始めたのです。
けれどよくよく調べたら職場に持っていって数時間に一度餌をやらなければならず、かなり苦労しました。
仕事場でもすごく迷惑をかけたなと思います。
でもその分愛着も湧き、夏に飼い始めたので「なっちゃん」と名付けてすごく可愛がっていたのです。
私はインコのヒナだと聞いて飼い始めたけど、育っていくにつれてなんだか見た目が違うなと思い始めました。
成長も早かったし、インコにしては体格が大きく、みるみる内に綺麗な立派な鳥に育っていきました。
図書館で図鑑を見たりして調べたりもしたのですが、鳥が何の鳥か分からなかったです。
インコではないことは確かでした。
羽根が薄ピンクのような色なのですが、光を浴びるとちょっと金色みたいに見えることがありました。
とっても綺麗でなんとなく、希少な鳥かなって思ったのです。
購入時にペットショップでインコだと言われたけど、絶対何かの間違えで別の鳥と入れ替わったと思っていました。
まあだからといって何の鳥なのかはそこまで気にはせず、ただ可愛がって育てていたのです。
私が「なっちゃん」と外から声をかけると、巣箱から顔を出して一生懸命外に出てきて私に近寄ってくる可愛らしい子でした。
なっちゃんのおかげで、私には嬉しいことがありました。
それは片思い中の彼と度々会えるようになったことです。
私の目論見通り、鳥が好きだった彼はなっちゃんに会いたくて、私の家にたびたび顔を出すようになりました。
彼もなっちゃんにメロメロで、見るたび「可愛いねぇ」と鳥籠の前で話しかけていました。
そうして一緒になっちゃんを鑑賞しながらご飯をご馳走したりして、ちょっとずつ距離を縮めていったのです。
そんな嬉しいことが度重なり、幸せいっぱいの時期だったのですが、そんな楽しいプライベートとは裏腹にちょっとした問題もありました。
度々くらっと眩暈がして職場で倒れてしまったり、道端で気持ちが悪くなってげぇげぇと吐いてしまったりなど、体調不良を感じるようになりました。
なっちゃんを飼い始めるまでは自他ともに認めるくらいに健康体だったのです。
でも飼い始めてから急に体が弱っていくのを感じていました。
仕事でちょっと残業があるだけで、こんなに疲れるのかというくらいに疲れてしまって、疲労で次の日動けなくなることもありました。
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