鳥籠から消えた鳥
投稿者:ぴ (414)
自分でも自分の体がおかしいと思ったし、具合が悪くない日はないってくらい日に日に状態が悪くなりました。
こうして体の不調が気になって病院に受診したときに、思わぬ病気の診断を受けたのです。
といっても重い病などではなく、すぐに治る病気でしたが、そのせいで1週間くらい治療のために入院することになりました。
そこで私は迷った挙句、よく家に来ていた片思い中の彼に連絡して、なっちゃんのお世話をお願いしました。
私がいない間に餌をやったり、水を入れ替えてもらえるようにと簡単な作業をお願いし、家の合い鍵を渡したのです。
こうして私は彼と連絡を取りつつ、なっちゃんの面倒を見てもらい、その様子を楽しげに話す彼との会話を楽しみました。
入院中ではありましたが、おかげで退屈なんて少しもしなかったし、幸せとすら思いました。
このまま彼とお付き合いできないかななんてことまで、強欲にも考えていました。
また入院するようになって、体の疲れがどんどん癒えていくのを感じました。
やっぱり病院での治療はすごいと感心していたのです。
私が退院して、家に帰りついたとき、家の鍵が開いていてびっくりしました。
一瞬空き巣に入られたと警戒したのですが、合鍵を渡してあったことを思い出しました。
そして彼が来ているんだとピンと来て、急いで部屋の戸を開けたのです。
そしたら玄関で人が倒れていてびっくりしました。
合鍵を渡した彼が玄関先に倒れていたのです。
驚いて名前を何度も呼んだけど、意識はないみたいでした。
慌てて救急車を呼び、私は退院したその日に彼の付き添いで病院にとんぼ返りすることになりました。
彼はげっそりと痩せこけていて、手足も彼のものとは思えないくらい細くなっていました。
この1週間で何があったのかと驚くほど激変していたのです。
こうして病院で彼の両親に説明をし、私は一旦家に帰ることになったのです。
彼は極度の栄養失調だと診断されました。
でも私が1週間前に彼を見たとき、普通に元気そうだったのです。
栄養失調のような顔色でもなかったし、健康そのものに見えました。
こうして数々の不審に頭を悩ませながら家に帰宅して、落ち着こうと思い、なっちゃんがいる鳥籠を覗いたのです。
覗いてびっくりしました。
鳥籠の中には生き物がいる気配が一切なくて、巣箱の中も探したけど、なっちゃんの姿はなかったです。
「なぜ?」と私は家の中をくまなく探し回ったけど、それでも見つかりません。
翌日から家の近くを探し回ったけど、結局なっちゃんは見つからず、その日から姿を消してしまったのです。
しばらくして、連絡を取れるまで回復した彼に電話で聞いてみたけど、何も分からないと言われました。
彼がお世話をしていた間はちゃんとその鳥籠の中にいたらしいのです。
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