ネトゲで仲良くなった女の子とオフ会

一昔前にオンラインゲームとか流行ってたんだが、俺も某ＭＭＯにハマってて当時はネトゲ廃人そのものだった。
学校帰りにすぐＰＣ起動してネトゲ。
そのゲームでは露店を開くことができたから、学校へ行ってる間にＰＣを点けっぱなしにして露店放置なんて事もしてた。

それくらいハマってたのは、やっぱりギルドメンバーと親交があったからだろう。
学校でも何人か話す相手は居たんだけど、一緒に遊ぶような友達が居なかった俺がネットの友達を優先するのは必然だった。

それで、ギルドの中に『子猫』っていう名前の女の子が居て、いつもチャットしてた。
子猫は都内に通う女子中学生で、リアルだと人見知りが激しくて友達が居ないそうだ。
虐められているわけじゃないけど、話す人も居ない。
それに比べたら俺なんてまだ学校で話し相手が居るだけマシだと思えた。

子猫はいつも「すごい」とか「つよいですね」ってな感じで感情が読み取りにくい単調なチャットばかりだったが、食いつきが良いときは書き込み量が多いのでその具合で彼女のテンションを図ってた。

学校に友達が居ないからか、午後からほとんどログインしている子猫。
そんな子猫と俺はログインする時間帯が被る事が多かったから一緒にレベル上げもする仲で、一日中チャットする事もある。

「リアルで会ってみてえなあ」

そんな欲が湧いた時だった。
いつものようにログインすると、ギルドの中でもすごいリア充な奴がオフ会を提案する内容をギルドチャットで持ちかけていた。
ギルドメンバーがログインするとギルドチャットにログイン通知が届く仕組みなんだが、ちょうど俺がログインするとそいつから「〇〇(俺のニックネーム)こんちゃ！オフ会やろうと思うんだけど、どう？」と書き込まれた。
正直、俺は友達が限りなく少ないが、内向的な性格でもないし、イケメンでは無いがフツメン程度だと思っている。
だから普通に「いいね」と乗り気で書き込んだんだが、ふと思った。

これは子猫に会えるチャンスなのでは？

そのリア充に個人チャットを通して現在の参加メンバーについて聞いてみると、ギルドメンバー総勢18人の内8人くらいは参加予定だと教えてくれた。

だが、その中に子猫の名前はなかったので、正直一気に行く気が失せた。

だから一端俺の参加は保留でお願いした。

それで数時間後に子猫がログインすると、俺はすぐに「こんばんは、数十分だけ狩りにいかない？」と誘う事に成功し、レベル上げ中に子猫にオフ会の事を聞いてみる。

「オフ会行かないの？」

『人見知りだからこわい』

子猫はそう言っていた。
普段から単調な文面だが、付き合いが長い俺からすると拒絶が窺えるような気がした。

そこで俺は思い切ってこう返した。

「じゃあ俺ら二人で遊びに行かない？」

我ながら思い切ったことをしたと思う。
もし、これで俺が出会い厨認定されて子猫と二度と狩りに行けないなんて事になったらと考えたら、マジで後悔した。
だが、俺の心配を余所に、意外にも子猫は『…二人ならまあいいよ』と好意的だった。