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心霊

takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

手渡された釘
短編 2023/01/01 13:16 1,444view
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知人のA子さんに聞いた話です。
彼女が中学生のとき、部屋で勉強していると、クローゼットの中から、ガターン! と、大きな音がしました。
驚いて見てみると、クローゼットの中に造り付けた棚板が落ちて、載せてあった小物やぬいぐるみが散乱していました。
それはA子さんの父親が、彼女が小学生の時に取り付けたものでした。おそらく経年劣化で落ちたのだろうと思いました。

A子さんが父親に報せると、すぐ調べてくれました。
「大丈夫だ、これくらいすぐ直るよ」
父親は持ってきた道具箱から金槌や釘を取り出しました。
そんなに大きなクローゼットではないので、上半身だけを入れ、懐中電灯で照らしながら、不安定な体勢での作業だったそうで、

「お父さんもあの頃と違って太ったからなあ」とA子さんはちょっと笑いそうになりました。
喉が渇いたので、A子さんは飲み物を取りに、一階のキッチンへ行きました。

ジュースを取って戻ってくると、父親がクローゼットから出ていたので、
「もう直ったの?」
とA子さんが聞くと、父親は不思議そうに、
「A子、どこからこんな釘を持ってきたんだ?」
と言い、差し出したものをみると、それはひと握りの錆だらけでボロボロの古釘でした。

父親の話では、途中で釘が足りなくなったので、クローゼットに身体を半分入れたまま振り向かずに、

「そこの一番長い釘を持ってきて」
と、手を出すと、手のひらの上に釘が置かれました。
作業を再開しようとして、釘の手触りに違和感を覚え、クローゼットを出て改めてみると、この古釘だった、と言うのです。

しかし、そのとき、A子さんはキッチンにいて、部屋には父親一人だったのです。
いったい誰が、こんな使い物にならない釘を手渡したのか?
そもそも、こんな釘は道具箱の中には入っていません。
お互いに釈然としないまま、父親は修理を終え、A子さんは勉強を再開しました。

特にその後は何事もなかったそうですが、
「いま考えると不思議だよね……っていうか怖い、あの時はなんで平気だったんだろ」
A子さんはそう言って、ぶるッと身体を震わせました。

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関連タグ: #ぬいぐるみ
コメント(2)
  • 優しいお父さんですね。

    2023/01/01/21:27
  • シンプルだけど地味に怖い

    2023/01/20/18:33

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