その手は誰の手?
投稿者:YoyoYoyoY (52)
「お姉ちゃん!お化けが出た~怖いからそっちに行っても良い?」
電話をかけて来たのは、熱を出して家で寝ている妹でした。
「行っても良い?って今、仕事中だけど」
「怖いから、すぐに行くから~」
妹はそそくさと電話を切りました。
その日は、一人で店番だったこともあり、店長もいません。
妹のことは店長もよく知っていたので、少しくらいなら良いかと思いました。
ほどなくして妹がやって来ました。
「和室で寝てたらさ、女の人が来て私を見ているのよ。
でさ、夢うつつだったから、てっきりお姉ちゃんだと思ったわけよ」
いや、妹よ私は勤務中だ。
「そしたらさ、白くて冷たい手で首に触って来たのよ~」
それはかなり怖い。
「ハッと我に返って、今度は空き巣か?って思ったわけよ!」
それは無理がある。だってうちは15階建てのマンションの最上階だもの。
それに私はちゃんと鍵をかけて出たし。
「ところであんた、えらく元気だけど熱は?咳は?喉の痛みはどうなってるの?」
熱が39度もあったのに、自転車を飛ばしてここに来るのはかなり驚きです。
「あれ、何か熱ないっぽい感じ」
マジかよ。
お客さんも途絶えたところだったので、妹と白い手のお化けの分析を始めました。
「和室って、仏壇があるからさ~ご先祖様だったりして」
私が言うと、妹はうーんと考え込んで答えました。
「でも、おじいちゃんとか、おばあちゃんではなかったよ」
妹も霊感があるので、信憑性は高い。
「仏壇のお位牌って、5人くらいあるの知ってる?
たぶん、ひいひいおばあちゃんだと思うよ。あんたの熱も引いてるしね」
私は、祖母から聞いていた、美しい高祖母の姿を思い浮かべました。
「そうか~ひいひいおばあちゃん、ありがとう」
妹も納得したようでした。
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