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不思議体験

逆手男さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

無意識につぶやくと現実になる不思議な力
長編 2022/11/22 20:55 3,310view

これは少し時代をさかのぼった頃のお話です。
亮(りょう・仮名)君は子供の頃から、「自分には不思議な力があるんじゃないか?」と思っていました。
それは思わず口に出したことが現実になるという能力です。
例えば夕食が3日連続カレーだったときです。「いい加減飽きたなあ。出前でも取ってほしい」と言ったら、母親がカレーを温めてるとき床にこぼしてしまい、本当に出前を取りました。
他にも観たいテレビがあるのに、父親から「勉強しろ」と叱られて、「観たいなあ」と呟きました。
すると父親は急に会社から呼び出しを受けて、観られるようになりました。

こんなことを友達に話しても、「単なる偶然でしょ」と相手にされません。
「だったら今すぐ宇宙人に会わせろよ」なんて突っ込まれますけど、意図的に言っても駄目だし、そういう壮大な願いは叶ったことがないのです。
それでも亮君は自分の力を信じていました。

そんな亮君も大学に入学し、地元を離れアパートで独り暮らしを始めました。

環境の変化についていくのがやっとです。
そんなある日、商店街を歩いていると、衣料品店の店頭にかなり短く刺激的なショートパンツが飾ってあるのが目につきました。
亮君は(こんなの、よほど足に自信が無いと履けないよな)と内心思い、さらに「こんなの履いてる子と知り合いになりたい」と思わず口に出ました。

そして店から離れて少し歩いて遊歩道に来ると、目の前にさっきのショートパンツを履いた子がいたのです。
上は長袖のニットに暖かそうなジャケットを羽織っていて、大胆に生足を露出した下半身とアンバランスです。
「暑いの?寒いの?」と突っ込みたくなります。でもとても似合ってます。さらに顔も童顔でかなり可愛いのです。
年齢は高校生か中学生くらいに見えます。
亮君は、(まさかさっき呟いたことが本当になるのか?)と内心ドキドキです。
しかしすぐに、(そんなことあるわけない。俺なんか相手にされない)と思い返して、その子から離れようと背を向けました。

すると「すいません」と背後から声をかけられる亮君。

彼は、(まさかあの子が?)と慌てて振り向きます。
すると彼の肘が軽くショートパンツの子のお腹に触れました。
するとその子は、「うっ……あっ……あっ……」とお腹を押さえて痛がって、その場にうずくまりました。
(なんだよ。大袈裟だなあ)と亮君はちょっと呆れました。でも痛がってる表情も可愛いのです。
呆れつつも亮君は、「ごめんなさい。大丈夫ですか?」と声をかけました。
その子は、「痛ぁい。みぞおち入ったあ。失神しちゃう!もう駄目」なんて矢継ぎ早に言います。
(その元気なら大丈夫)と思っていると、その子は「あぁ……ふうん」と吐息を漏らして、その場に倒れてグッタリしてしまいます。
亮君は、「あの……本当はなんともないんですよね?」と思わず口にでます。
でもその子は目を閉じたまま動きません。
そこで亮君は、「そういえば俺に何か用ですか?」と聞きました。
するとその子は、「あっ、そうだった!」と立ち上がって、腰に手を当ててポーズを取り、「ちょっとお願いがあるんですけど、今お暇ですか?」と言います。
(なんだよ。やっぱり何ともないじゃん)と思いながら、(あれ?今お暇かって俺に聞いた?)と気が付いて、亮君はさらに心臓の鼓動が速くなりました。

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