無意識につぶやくと現実になる不思議な力
投稿者:逆手男 (2)
それから数分後、亮君とショートパンツの子はカフェにいました。
その子の願いは、カフェでカップル限定セットを一緒に食べることでした。
「無性に食べたくなるんだけど、一人じゃ注文出来ないから」とその子は無邪気に言います。
亮君は冷や汗がとまりません。
そして、「なんで俺を誘ったの?」と聞きました。
するとその子は、「だって僕のこと見てたよね?気があるのかなって思って」なんてあっけらかんと言います。
さらに、「あっ、僕のことはケイちゃんって呼んで。そんなに僕のショートパンツ姿、魅力的かな?」なんて続けます。
亮君はどう答えて良いか分からず、「僕っ子なんだね。ボーイッシュで可愛いから、似合ってるよ」と話しました。
そしたら突然ケイちゃんは、「あっ……」と艶めかしい声を出して、ソファに倒れこみます。
目は閉じて口はぽかんと半開きで、軽く身体を痙攣させています。
びっくりする亮君。でもそんな姿も大変魅力的です。
短いショートパンツ姿といい、失神したフリといい、自分がどう見られてるか分かってやってるのでしょう。かなりあざとい子だなと、思う亮君。
とはいえ、倒れたままのケイちゃんをどうして良いか逡巡していると、店員のお姉さんが来ました。
お姉さんは、「ほっといていいですよ。いつもこの子はこんな感じですから」と言います。「はあ」としか言えない亮君。
「ほら、起きなさい」とケイちゃんの肩を叩くお姉さん。するとケイちゃんは、「痛いっ!痛ったあい。骨折れたぁ」と言ってようやく起き上がります。
お姉さんは、「ケイちゃんがふざけるからでしょ」と叱るように言います。するとケイちゃんは「だって僕のことボーイッシュだなんて言うから」と頬を膨らませます。
亮君は、「そんなにショックだったのごめん」と謝りました。
するとケイちゃんは「そうだよ。僕男の子なのに」と言います。思わず絶叫して驚く亮君。確かに男の子っぽさは感じましたが、どう見ても女の子にしか見えません。
また揶揄われてるのかと思う亮君。しかしお姉さんも、「みんな最初は驚きます。あたしも最初女の子だと思いました」と説明します。
思わずフリーズした亮君に、「安心してよ。このカップルセットは同性が頼んでもOKだから」なんてズレたことを言うケイちゃん。
亮君は、(そういえばショートパンツを履いた子と知り合いたいとしか言ってなかった)(女子って言わなきゃいけなかったかな)(でも男の子が履いてるなんて想定外すぎる)と思考が巡りました。
そのあとカフェを出て、なんとなく並んで歩く亮君とケイちゃん。
男の子だって分かっても、やっぱりケイちゃんは可愛くて魅力的です。かなり小悪魔ですけど。
年齢はやはり高校生で、亮君より2つ年下だと分かりました。
そして2人は公園まで来ました。夕日があたりを包み、周りには誰もいません。
するとケイちゃんは、「寒ーい」と言います。確かにそんな恰好じゃ寒いはずです。
でも亮君は、「また嘘ついてんの?」なんて意地悪言います。ケイちゃんは、ポカンと口を半開きにして亮君を上目遣いに見たあと、「酷い!」と言って遊具の方に走っていきます。
(あざと可愛い。なんだか恋人同士みたいだよな)なんて亮君は思いました。
そしてケイちゃんは、丸太の上を歩く遊具で遊び始めました。
やがて「うわあっ!」と叫んで、落ちるケイちゃん。どうやら足を踏み外したようですが、(またわざとだろう)と亮君は思います。
しかし慮君は、(可愛い寝顔を見てやるか)とケイちゃんに近づきました。
ところが倒れているケイちゃんを見て、驚愕しました。口の周りが血だらけで、泡を吹いています。落ちたときに口の中を切ったのでしょうか?
そして後頭部も打ったらしく、血がでています。
さらに半分あけた目はトロンとして生気がありません。やがて「すうっー」と吐息を漏らして、目がゆっくり閉じていきます。そして身体を激しく痙攣させます。
亮君は救急車を呼ばなきゃ!と焦りました。当時はまだ携帯の無い時代です。亮君は公衆電話を探そうとします。
しかしこんな状態のケイちゃんを放置するのもはばかられます。(誰かいないのか!)とあたりを見渡すも人気は全くありません。
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