非通知着信の用件
投稿者:りー (118)
短編
2022/10/21
15:25
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私が高校生の頃の話です。
ある夏の日、友達数人で肝試しに行く事にしました。何年も前に潰れた旅館で中は物が散乱し不気味な雰囲気でした。
しかし期待していた心霊現象は起きずただの廃墟探検になってしまいました。
がっかりした友人の1人は戦利品として旅館に置いてあった古い花瓶を持ち帰る事にしました。
その帰り道私のスマホに着信が来ました。名前は記されておらず非通知からです。
不思議に思いましたがどうせ変な業者からのものだろうと気にも留めませんでした。
しかし今度は別の友達のスマホに非通知で電話がかかって来ました。その友達の次にはまた他の友達のスマホに非通知から着信があり、偶然にしては気持ち悪く感じました。
最後に花瓶を持ち帰った友達のスマホに非通知で着信が入り、その友達は怯えながらも電話に出ました。
すると品の良さそうな女性の声で「申し訳ありませんお客様、備品を返して頂けないでしょうか?」と声がしました。
私達は一気に恐ろしくなりました。あの旅館にはまだ女将さんがいたのです。きっとこの非通知着信は花瓶を返却するまで続くのでしょう。
大急ぎで旅館に戻り花瓶を元に戻しました。それでようやく非通知着信はおさまりました。
心霊スポットで持ち帰って良いものは思い出だけだと思い知りました。
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全員の電話番号を知ってるの。怖い。
さすが、女将は上品だな。