おばあちゃんがくれたぼた餅
投稿者:ぴ (414)
私は小さい頃に、知らないおばあちゃんにぼた餅をもらいました。
小学校から家まで友達と歩いて帰っていたら、見たことない家が見えてきたのです。
こじんまりとした可愛い家の前には庭が広がり、色とりどりのお花がいっぱい植えてありました。
その中におばあちゃんがいて、こっちに手招きしてきたのです。
友達は「誰?」とか「ここに家あった?」と聞いてきました。
私も分からなかったけど、とにかく優しいおばあちゃんと色とりどりの花が綺麗なそこでジュースをご馳走になり、そしてタッパーに入ったぼた餅をもらいました。
私は初めて会ったおばあちゃんに懐いて、なんだかそこから離れたくないと思ってしまいました。
けれど家に帰らないといけないと思い直し、私は友達と一緒におばあちゃんにバイバイと手を振ったのでした。
帰り道で私たちは家まで待てず、3人でぼた餅を分けっこして食べました。
残ったタッパーを見せると母が私にそれが何かと聞き、私は正直に話しました。
そしたら「知らない人からもらったものを食べちゃダメ」と雷を落とされてしまいました。
そして家の場所を聞かれて私は素直に答えたのです。
だけど母はそのタッパーを返せませんでした。
理由はその家がどんなに探しても見つからなかったからです。
それから何度か同じ道を通ったけど、二度とあの花がいっぱいのおばあちゃんの家は見つからなかったです。
ぼた餅は今まで食べた中で一番といっていいくらい美味しくて、この世のものではない味わいでした。
もし、もう一度あのぼた餅を食べられると言われたら、その誘惑に勝てる気がしません。
いまだにあの日一緒にぼた餅を食べた友達に出会うと、この話になります。
楽園みたいなあのおばあちゃんの家はどこにあるのでしょうか。
そしてあの家でずっと帰らなかったら私たちはどうなっていたのでしょう。
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