夏休みの奇妙なドライブ
投稿者:ナナシー (36)
大学生の夏休み、私は免許取り立てで友人と二人で目的も特にないドライブに出かけた時の出来事です。
友人とは、普段見れないような風景を見に行こう、田舎の道をのんびり散策しようとのことで、静岡県の国道から離れた山道を走っていました。車のナビはなく地図は持っていましたが、田舎の細い道路までは記載されていませんでした。
友人は“勘”の働く一面があり、私が運転する中、道を選択してひたすら林道を走っていました。
周囲は全く道案内もない辛うじて車一台が通れる道路を進んでいくと、少し開けた場所に出ました。
そこにはかなり朽ちた廃屋と廃寺のような建物がありました。
用を足したいこともあり車から降りて、休憩することにしました。
すると突然夕立ちに見舞われたため雨宿りを兼ねて、二人で廃寺に入りました。木製の扉は鍵がかかっていなくすんなりと入ることができました。
あったはずであろう仏品やそのたぐいのものは一切なく、私達以前にも誰かが入って休んだりしていたのか、空き缶やビニールシートがある位でした。ただその空間は黴のような空気で立ち込めていました。
友人も“やばい病気になりそう。”とたじろいでいましたが外は雷と大雨で、十分程友人と話をしながら過ごしていました。
すると“何してる”といきなり目の前に僧侶が現れたのです。昼間で光も射している空間でしたが二人で驚きました。
私が僧侶に事の次第を説明したのですが、無言のまま私達を睨み付けていました。
友人はその間に走って車に戻ってしまい、私もすぐその場を後にしました。
車に戻ると友人の方が慌てて“早くここを出よう、危険だ。”とのことで一目散にその場所を離れました。
私も頑張って運転していましたが、気が付いた時には山梨のとある大きなお寺に辿り着いていました。
また“お寺かよ。”と私も友人に行ったのですが、今度は現存する立派なお寺でした。
そこでの休憩中に友人との会話に絶句しました。
あの廃寺で私が見た僧侶らしき人物は、生きたものではないこと。
私には僧侶に見えたはずでしたが、友人にはボロボロの朽ちた骸骨のようになったものがぼんやりと浮かんだように見え、その表情がやばそうだったので逃げてしまった。私が友人の後に戻ってきた時には手遅れで色々連れてきてしまっていたのでこのお寺に来た、とのことでした。
廃寺からこの寺に来るまで私が車を運転していたのですが、なぜかアクセルを踏んでいる際など車が重いように感じていたのです。何かを載せてここまで来てしまったという恐怖感から、その後すぐにお寺に行ったのですが閉門していたのです。
地元を歩きながら何とか民宿を見つけて宿泊をお願いしたのですが、断られ続けようやく訪ねた三件目のところで一晩過ごすことができました。
次の日朝一番でお寺に行こうと友人と話をしていたのですが友人は朝から高熱を出してしまいました。
何とか友人にも頑張ってもらいお寺で昨日起こった出来事のままに話し、厄除けをお願いしました。
しかしながら友人の高熱は下がることなく、大学病院に入院して一ヶ月以上病院暮らしをしていたと思います。
この事を機に友人とは疎遠になってしまいました。
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