人間だった・・・？

これは私が学生時代に体験した、少し怖い話になります。

当時中学生だった私には親友と呼べる生徒（以下、Ａ子）が居ました。
Ａ子は優しく絶対にタチの悪い嘘はつかない生徒で、その為クラスでも比較的人気者の部類に属していました。

そんな彼女でしたが、オカルトに関する話にだけは妙に敏感だったのです。
霊感があるとまでは聞いていませんが、度々「向こうに何かが見える」だとか、「白い物が廊下を通った」と指を指します。
ですが毎回私にはA子の指摘する物が分からずに「そんな訳が無い」と笑い飛ばしていました。

しかし、ある日笑えない事態が起きたのです。

その日は丁度五時間目、音楽の授業を受ける為に教室へ移動をしていた時の事です。
普段通りＡ子と並び学校の階段を上っていた所で、不意にＡ子は窓をじっと見つめ立ち止まってしまったのです。

「どうしたの？」と聞いてみると、「あんな人学校に居たっけ？」と。また指を指して問いかけたのです。
またいつもの勘違いかと私は面白半分で窓からグラウンドを眺めた瞬間。
見覚えのない女性、と思しき人物が何処かを一心に見つめたまま佇んでいたのです。
髪型はショートで、ホラー映画等でよくある長髪ではなかったのですが……顔色が非常に白いともいうのか、不気味な程に目立つのです。
服装を見ても知らない先生で、猫背なのも特徴的でした。

「え、誰？」「知らない」と互いの間で交わした後、一旦は授業に遅れないようにとその場を去りました。
そして授業終わりの放課後に、担任の先生に目撃した通りの話を（冗談交じりに）告げて、あの人は新任の先生なのですか、と尋ねてみました。
すると返ってきた返答は、「今の時期にそういった人はこの学校に居ない」と。

もしかすると私達の見間違いだったのかもしれませんが、今でもあの日光を受けていない、青白い肌は遠くから見ただけだというのに忘れられません。
果たして人間だったのでしょうか。それとも……？