いつもと違う町
投稿者:むいむい (4)
これは私が小学生の頃に体験した不思議な話です。
その日はいつものように学校を終えて家に帰ってきたところでした。
はっきりとは覚えていませんが、時刻は15~16時くらいだったでしょうか。
私には両親と祖父母がおり、その時間帯に帰ると少なくとも誰か一人は家にいてくれているのが常でした。
ですがその日は家に誰もおらず、少し違和感を感じたのを覚えています。
父は仕事、母は買い物、祖父母も何か用事があって出かけているのかな?というぐらいにしか考えておらず、しばらくは家で一人過ごしていました。
ところが17時頃になっても誰も帰って来ません。
だんだんと一人であることが怖くなってきた私は、誰か人のいるところに行こうと家に鍵を閉めて外へ行くことにしました。
住んでいるところは少しばかり田舎とはいえ、近所に家はたくさんあるし外に出ている人もいるだろうと思ったのです。人がいなくても道路まで行けば車が走っているはずです。
そうしてまだ明るいうちに家の周りを歩いてみました。
誰もいません。車も通っていません。鳥や虫の鳴き声はしたように思いますが、人はいません。
いっきに不安が押し寄せた私は、いったん家に帰り自転車に乗って町を走り回りました。ですが状況は同じでした。(この時にどこか店の中に入ってみればよかったのですが、考えが及びませんでした。)
結局どうすることもできず自宅に帰り、自分の部屋で布団にくるまり怯えていました。
きっと気のせいだと、そのうちみんな帰ってくると言い聞かせていました。
そしてそう時間も経たないうちに、玄関の鍵を誰かが開ける音が聞こえました。母が帰って来たのです。
私はすぐさま飛び起きて母のところへ行き、「どこへ行ってたの!」と怒鳴りました。母はただ買い物に行っていただけのようでした。
母に今日のことを話しましたが、不思議そうにするだけでした。
特にオチもありませんが、私が体験した不思議な話は以上になります。
田舎とはいえ、さすがにあれだけ人がいない、車や自転車も通らない、近くの高校に行っても下校中の高校生にも会わなければいつも聞こえてくる部活動の音もしない…。
これはどういうことだったのでしょうか。
幼いころのことなので、私の記憶違い?思い過ごし?そう言われればそうなのかもしれません。
ですが私にとっては忘れられない出来事です。
まるで私だけ変な異世界に行ってしまったのではないかと思うような体験でした。
怖いと言うより可愛い体験ですね。