真夜中のノック
投稿者:ぴ (414)
私が2~3年ほど住んでいたマンションがあるのですが、私はそこで怖い体験をしたことがあります。
真夜中に部屋の扉からノック音が聞こえてきたのです。
私はその音を聞いて部屋の中でドキッとしました。
なぜかというと私はそのマンションに一人暮らしをしていたからです。
外から聞こえるノック音がありえなくて、私は非常にドキドキしながらしばらく扉を見つめました。
ずっとそうしているわけにもいかず、私は勇気をもって扉を開けて確認しました。
もちろんそこには誰もおらず、私はぞっとしながら扉を閉めました。
電気を消してもう寝ようとしたら、布団がガサゴソ揺れたのです。
私はびくっとしてすぐに電気をつけてあたりを見渡しました。
でも周りには当然誰もいません。すごく怖くてなかなか寝付けず、私が眠れたのは朝方4時頃だったと思います。
翌朝目が覚めて、寝不足でげっそりした顔で仕事に行きました。
昨日のことは何だったんだろうと思いながら出社したのですが、私は出社してびっくりしたのです。
職場で私が嫌いだった上司が昨晩バイク事故で亡くなったという話で持ちきりでした。
私は毛嫌いしていた人だったので、特に何とも思いませんでした。
ただ上司のバイクのカギにつけていた鈴が見つからないという話がなんとなく耳に残りました。
その日家に帰ってお風呂に入って、寝る時間になって寝室に行ったのですが、その部屋の前に何かが落ちているのを見つけたのです。
拾ってみるとそれはちりんとなる鈴のようでした。
見覚えのない鈴になんでこんなものが…と思うと同時に、そこで私は今日職場で話していたことが思い出されました。
上司がバイクのカギに付けていた鈴が見つからないとみんなが言っていたことを思い出したのです。
この鈴と上司がそこで結びつき、昨晩のことを思い出して私はぞっとするものを感じました。
深夜のノック音はもしかしたら私が嫌いだった上司だったのかもしれません。
そして驚いたのですが、独身だった上司は私に好意を抱いていたと後から聞きました。
マンションで奇妙なことがあったのはその日一回きりでした。
でも私にとってはすごく怖くて、そして死んだ上司を忘れられなくなった出来事でした。
鈴はその後、私が知らない間に無くなっていました。今もふと思い出すと怖くなる思い出です。
儚いですね