目の前で焼身自殺があったアパート
投稿者:hanabou (3)
私が仕事の転勤で地方に引っ越したときのお話です。
全く土地勘のない私は、駅前にある不動産で何件か内覧したあと、特に何も考えずに職場から近いアパートを選びました。
さあ、あとは契約書類にサインするでけという段階で、不動産屋の担当者が不吉なことを話し始めました。
「実は、こちらのアパートの目の前で先月、焼身自殺をされた方がいるんです。今さらですが、それでも良ければ…、一応お伝えはしましたので…」
お話を聞いたとき驚きはしましたが、内覧で疲れていたのと、霊感のない私に別段影響はないだろうと考え、その場ですぐ契約書にサインしました。何より、焼身自殺をされた方は、アパートの住人ではなかったのですから…。
1週間後には引っ越しが完了し、アパートと職場を行き来する生活が始まりました。
すると、アパートに帰るとなんだか不穏な空気を感じるようになりました。誰かに見られているような落ち着かない感じです。何かが見えるわけではありません。
しかし、アパートの部屋では眠れなくなり、明らかに体に変調の兆しがありました。これまで全国を転々とし、引っ越しや職場が変わることに慣れている私は、転勤が原因で体調を崩すことはありません。職場の人間関係もいたって良好です。
なので、ここで初めて「焼身自殺」の話を意識するようになったのです。
3ヵ月経過した頃でした。アパートの部屋でほとんど眠ることができないまま、職場に向かう途中です。
ひどい吐き気とめまいに襲われて意識を失い倒れました。
近所の人が救急車を呼んでくれて近くの病院に搬送されたのですが、検査の結果どこも異常なし。自分でも何がなんだかわからず、病院からそのまま職場に行って経緯を話すと、地元に住む同僚が驚いた様子でこう言いました。
「〇さんが倒れた場所、春先に焼身自殺があった場所と全く同じところですよ!」
それを聞いていよいよ怖くなった私は、その日のうちに引っ越しを決意しました。
その日の夜、やはり熟睡できないまま、寝がえりを繰り返していました。すると…、私のベッドの足元をスッと真っ黒で人の形をしたものが横切りました。
叫び声をあげて照明を最大限強くしたら、もうその姿はありませんでした。
霊感がないはずの私が、全身鳥肌が立ち震えが止まりませんでした。
なぜなら、真っ黒の人型のものは、まさに焼身自殺された人の姿と重なったからです。
私はすぐさま同僚の家に泊まらせてもらい、翌日からの引っ越し作業はすべて両親に任せました。あれ以来、一度もあのアパートには近づいていません。
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