開かずの扉
投稿者:ぴ (414)
昔通っていた小学校に、有名な「開かずの扉」と言われる部屋がありました。
その部屋はいつもカギを閉めてないのに開かないという噂がありました。
でもある日私と同じ委員だった子が放課後に先生に頼まれた備品を返却して帰る途中で、その扉が開いているのを見つけてしまったのです。
私は興味を惹かれないわけではありませんでしたが、先生たちが「入ってはいけない」と言っていた部屋だったし、なんとなく嫌な予感がして怖くてそこに近づきませんでした。
でも同じ委員の子が好奇心に駆られたのか「見てくる」と言い出して、その開かずの部屋に入っていってしまったのです。
私は外でしばらく待ちましたが、いくら待ってもその子は一向に帰ってきません。
心配になって私もその扉を覗こうかと迷った頃に近くを偶然にも先生が通りかかりました。
先生に話すと、先生は首を傾げました。「鍵を閉めていたはずなのにな」とその先生は言ったのです。
私はこれを聞いて、開かずの扉に鍵がかかっていることを初めて知り、噂なんて噂でしかないことを知ったのです。
しかし、その部屋を確認した先生は「誰もいなかったよ」ととんでもないことを言い出したのでした。
同じ委員の子がそこに入ってから私はずっとその子を待っていたので、その子が戻ってきてないことは確かです。
なのに誰もいないと言われて、私はすごく薄ら寒いものを感じました。
その後先生が連絡を取ると、その委員の子はどうやら自宅に帰っているらしいことを知りました。
明らかにおかしかったですが、先生は私の勘違いと笑っていました。
翌日にその子と話そうとしたけど、その子とはそれ以後話すことはできませんでした。突然親の仕事の都合で転校したと言われたのです。
その後、学校であの開かずの扉が開いていたのを見たことはありません。
私は今でもそのことを思い出し、不安になります。その子は本当に転校していっただけなのでしょうか。
私は開かずの扉に入って、部屋から出てきた彼女を見ていないのです。
もう随分昔のことで、私の記憶も朧げになってきてその子の名前が思い出せません。
それすらもなんだか怖くて、その子が今何をしているのか安否が知りたいです。
面白かったです