忘れられない音

これは私が中学生の時の話になります。

それまで心霊体験等まったく無く、平穏に日々を送っていました。そんなある日、自室で寝ようとちょうど、うとうとし始めた頃です。
「ペラペラ・・・ペラペラ・・・」
紙をめくるような音が聞こえてきました。しかし、当時の私の部屋の前は姉、左隣は両親が使用しており「何かやってるんかな？」と
それぐらいにしか考えていませんでした。

その単調な音がし始めて数分経った頃でしょうか、
「ガシャン、ガシャン」

音が変わっている事に気づき、ようやくただ事ではない事に気づきました。さらに良く聞いてみるとその音は、私の部屋の右隣にある
和室から聞こえている事がわかり、どうも和室を歩いているように聞こえます。
もちろん部屋の壁を隔てているので、その音の姿は見えませんが私には円を描くように部屋中を歩いている足が、確実にイメージされていました。

さらに数分後その音は
「ドスンッ、ドスンッ」
もう明らかに人が歩く音へと変わっています。恐怖からなのでしょうか、私の体は全く動くことができません、ただ音が聞こえる事と
自分の部屋のドアから目が離せない以外は。

そして、それまで和室を歩き回っていた音は部屋をでました。さらに悪いことに私の部屋のドアは”すりガラス”になっており、はっきりとでは
ないですが廊下が見えます。
「ドスンッ、ドスンッ」
その音と、黒い影が私の部屋の前に現れました。
助けて！そう祈った時です。
「ガチャ」
両親の部屋のドアが開く音が聞こえ、黒い影は消えていました。おそらく両親にも音が聞こえていたのでしょう、私の部屋の前まで何かを確認
しにきたようです。黒い影が消えたことの安心からか、私はそのまま眠ってしまいました。

あの音と黒い影が何なっだのかは分かりませんが、私には恐怖の思い出として今でも残っています。