目のイラスト

　私が中学生のころ、ホームページを作った時の話。いや、作ろうとした時の話か。

　買ってもらったPCで作業をしていて、サイトトップの画像に目玉のイラストを使おうと思い、フリー素材サイトをいろいろ見て回った。夜の１時くらいだったと思う。中二病まっさかりだった私は、検索ページの数枚目くらいにあるちょっと不気味な感じのイラストサイトを見つけた。分類の「人の部位」のところにいろいろな臓器のイラストが載っていた。そのページは非常にマニアックで、盲腸や耳の骨のイラストすらあった。お目当ての目のイラストが見つかり、サンプルイラストの下の「ダウンロードする」のボタンをクリックした。

　するとダウンロードが始まり、「medama_irasuto.jpg」がダウンロードされたという通知が出たのでそのサイトを閉じようとした。

　その時、他の画像が勝手にダウンロードされていることに気づいた。えっと思い、どんどん体中の臓器がダウンロードされていくのを見ながら、ヤバいと思いブラウザの「閉じる」ボタンを押した。しかし反応しない。というよりマウスの反応を全然受け付けないので、強制終了しようと電源ボタンを押そうとしたとき、「全てダウンロードしました。またのご利用をお待ちしております。」という通知が出た。見ると、画面上に女がこっちを見ていた。自分がダウンロードしようとしたあのイラストの目で、こっちをにらみつけている。女は裸だったが、全身が傷だらけで、ああ、こいつがバラバラにされてたんだな、とぼんやり思った。

　そのうち、女はまるでロッククライミングでもするような仕草で画面の上のほうに上がっていった。モニターの上部にはカメラがある。ハッとして電源ボタンを押して強制的にシャットダウンした。ホッとする間もなく次の瞬間、ＰＣに繋いでいたプリンタが勝手に起動した。まさか、あいつが紙に印刷されて出てくるんじゃないか？そう思いケーブルを引っこ抜いた。今度こそ何も起きなかったが、不気味に思った私はベッドにもぐりこんでいつしかそのまま寝てしまった。

　その後は不可思議な現象には遭遇していないが、次の日、PCを立ち上げようとするとエラー表示が出たので修理に出したところ、記憶域が完全に壊れていて、修復は無理だと業者さんに言われた。重要なデータはバックアップしていたので問題はなかったが、ただただ不気味だった話。

今考えると何らかのウイルスサイトで、PCが乗っ取られておかしなことになったのだと思っているが、もしそうならなぜそんな仕様にしたのか、その製作者の意図が理解できず、不気味だ。もし、ウイルスじゃないなら、もっと恐ろしい話だ。そのイラストサイトをもう一回探そうとは全く思わない。