盆栽と一緒
投稿者:ヨハンネ (8)
短編
2022/04/27
22:44
838view
母は松の盆栽が大好きで、庭に大工さんにお願いして材木で棚を作ってもらって、その場所に10鉢ほどの松や他の種類の盆栽を置き大事に育てていました。
持病を持っていた母の体調が崩れ、それからは私や家族の者が母に教えてもらいながら水やりなどをしていました。
その日はいつもの様に毎日の時間を過ごしながら母はゆっくりとソファーに腰掛けテレビを見ていたのですが、急に鼻血が出ておかしな様子になったかと思ったら、今度は呼吸がおかしくなりだしました。
すぐに父に知らせ母をかかりつけの病院まで車で連れて行ってもらい、すぐに入院となりました。
心臓の発作でした。あまりに急激な体調の変化に驚き本当に心配することしか出来ませんでした。
治療をしている最中も苦しそうで見ていられずにただただ傍にいる事しか出来ませんでした。
体長は良くなることはありませんでした。
それでも少し落ち着きを取り戻した母はお見舞いに来てくださった親戚の皆さんにもきちんと挨拶などしていましたが、それは皆さんへの最後の挨拶だったようです。
母が亡くなり大切にしていた盆栽は、母が入院をしている最中でもちゃんとお水をあげたりしていたのに、それなのに、それなのにです、母亡き後、すぐにその盆栽が次から次へと枯れていったのです。
最終的には全滅でした。
きっと母が大事にしていた盆栽なので一緒にあの世に持って行ったのでしょう。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。