病院にある機械式のお風呂

私は以前高度救命救急センターで勤務をしていました。

建物自体は3階建てで、3階は職員の休憩室になっており、1階は救急外来、2階は集中治療室になっている構造です。

2階には高度医療が必要とされる患者さんが入浴できるように機械式のお風呂がスタッフ専用の出入り口のエレベーターの前にあります。

一般の方の入り口とは明らかに違う場所ですし、自分で入浴できない方（意識がほとんどない患者）が使用する形状のお風呂です。

高度救命救急センターには火傷で訪れる患者さんもいます。

ある日のことですが、夜勤の休憩中、ちょうど深夜の1時2時くらいでした。

部署に戻ろうとしてエレベーターを降りると、子供が入浴していました。

救命センターなのでいつの時間に入浴を介助してもおかしくないと思い、通常通りに仕事をしていました。

次の日の朝、申し送りを終わって、ふとお風呂のことが気になったので、職場の同僚に話をしてみると、私が夜勤に入る前日に小さな子供が溺水で運ばれて死亡したそうです。

私が見た日には、誰も入浴しておらず、子供が入院した記録もありませんでした。

それを聞いた時に、初めてゾッとしてしまいそれ以来、エレベーターを使わずに階段で出入りするようになりました。