バスの中で見た奇妙な風景
投稿者:湊 (22)
短編
2022/03/11
00:07
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3年前の夏、午後7時頃バスを待っていたのですが、定刻を10分以上過ぎてもやって来ません。
携帯でチェックしても遅延情報もなく、結局それから20分ほどたってやって来たバスに乗り、空いている座席に座って外を見ていたところ、おかしなことに気づきました。
そのあたりは住宅地なのに、まだ家がまばらにしかなく、本来あるべきショッピングモールも見えません。
乗るバスを間違えたかと思ったのですが、バス停の名前はいつもと同じだったので、そのまま乗っていました。
そのうちお客さんの服装がいつもと違うのに気づきました。
皆90年代頃のような格好で、茶髪ガングロの女性もいたし、スマホでなくガラケーを持っています。
変だなと思いながら、最寄りのバス停に着いたので降りようとしたら、またおかしなことがありました。
そのバスは降車時に料金を払うのですが、ICカードが使えないのです。
そのためお金で料金を払いました。
その後そのバスのことも忘れていましたが、その年の暮れ、大掃除をしていて30年近く前の新聞記事を見つけました。
それには、私がいつも乗るルートのバスが事故を起こし、何人か犠牲者が出たとあったのです。
あのバスの中の奇妙な風景が、頭の中によみがえりました。
あれはその時事故を起こしたバスで、何かでこの世界に来ていたのかも知れない、そう思うとちょっとぞっとしました。
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