霊の視える子供
投稿者:足が太い (69)
いとこ(A美)がこの前2歳になったんだけど、以前までむにゃむにゃって意味を成さない言葉を発していたのに、いつの間にやらはっきりと自分の意思を伝えられるようになっていてびっくりした。
A美とちゃんと会話出来ることに、A美の両親も私の両親もすごく喜んでたけど、はっきり言葉を話すようになったからこそ困った問題が出てきたんだよね。
実はA美はもっとちっちゃい頃から、何もない壁のすみっこを指さしては「わんわん!わんわん!」と言ったり、母親とか父親の肩辺りを見て怖がるような子だった。
親戚の間では「A美は(霊が)視える子」ってことで通っていて、「でもまだ赤ちゃんだし、何を言ってるかはっきりとは分からないからそこまで怖くないね」ってなってた。
それが、成長して舌足らずではあるものの割とはっきりと「何があって、どうなっているか」が話せるようになってきたから、周りはもう大変。
A美は毎日何らかの霊を視ているようで、天井を指さしては「女の人がいる」、外を歩いていてふと立ち止まっては「足がない男の人がいる」と、言ってくる。
その度にA美の両親は「そんな人いないよー」「え?どこ?見えないなぁ」って誤魔化していたけれど、育児ストレスなのかA美のお母さんが倒れて入院することになってしまった。
A美のお父さんは仕事が忙しくて休めず、私の両親がA美をしばらく預かることになったんだけど…。
私の両親宅でも色んな見えてはいけないものが視えてしまうようで、今度は私の母親が限界きちゃって「A美のお世話をするのが辛い…」と言って、叔母の家に行ってしまった。
そこで私が両親宅に泊まって、A美のお世話をすることになったんだけど、A美母や私母が精神的に参ってしまう気持ちが少し分かった。
(A美父・私父はそもそも仕事であまり家におらずA美とはそこまで深く接しないので、影響はないみたいでした)
朝起きて、A美から「ねぇねぇ、お姉ちゃん(私)、お姉ちゃんの肩にね、お手てがあるよー」と言われたり。
台所で昼食の用意をしていたら、A美がトコトコ歩いて来たかと思うと、「テレビの横に知らないおじさんいるの、こわい~」と泣きついてきたり。
夜にA美をお風呂に入れていると、A美に「ねーねー、窓の所、誰かいるよー、あの人もお風呂入りたいの?」と、誰もいないはずのお風呂の窓を指さされたり。
こういうことが1日のうちに何度もあって、「私には視えないけれどA美には視えてる何かがいるのかもしれない」という不安感・恐怖でいっぱいいっぱいだった。
そもそも、どうして家の中でそんなにたくさんの霊を視るのかと言うと、後で調べたらA美宅も私の両親宅も、風水的に良くない家らしい。
だから毎日のようにA美が霊を視てしまうのかな、と。
私もそこそこ心霊体験をしてきた方だけど、A美には負けるくらい、A美は多くの霊を視ているようだった。
それからもう1つ、A美が数えきれないくらいたくさんの霊を視るのは、A美の霊感が誰よりも強いからだと思う。
その結論に至った事件がA美を預かっていたある日に起きた。
いつもなら19時には帰ってくるはずの父の帰りが遅くて、どうしたんだろうと思っていたら、呼び鈴が1度鳴らされた。
A美に「誰だろうね、ちょっと待っててね」と言ってから玄関へ行くと、その間にまた呼び鈴が2度、3度鳴らされる。
「はーい、今開けるのでちょっと待ってくださいね」と玄関扉越しに声をかけると、「ああ、早く開けてくれ」と、父の声が聞こえた。
「あれ?お父さん鍵持ってなかったっけ?」「鍵か、鍵はそうだな、忘れたみたいだ。とにかく早く開けてくれよ、寒いんだよ」
声は父親のものだけど、何か様子がおかしくて扉を開けるか迷っていると、呼び鈴を2、3回続けて慣らされて、「開けてくれよ、寒い、寒いんだ」と、また父の声で呼びかけてくるんです。
まさか父の声真似をする泥棒か何かか、それなら警察を呼ばないといけないと思って、リビングに置いてあるスマホを取りに行こうと後ろを振り向いたら、いつの間に来ていたのかA美がいて、不思議そうにしてる。
「A美ちゃん、お外に変な人がいるから、そーっとリビングに戻ろうね」と、A美に小さな声で言うと、A美はじっと私の顔を見つめた後、トコトコと玄関に歩いて行ってしまった。
慌ててA美を追いかけて抱っこしようとするけれど、A美は素早い動きで私の手を除けて、とうとう玄関の扉を開けてしまった。
扉が開いたそこにいたのは、夏だというのにコートを着込んだ男の人。
でも普通の生きている人間ではなく、顔の半分が潰れて無くなり、お腹の真ん中に大きな穴が開いた、既に亡くなっていることが分かる状態の人だった。
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