節分の日の悪夢
投稿者:くやり (24)
短編
2022/02/17
22:34
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父子家庭の私の家では父が手作りのお面を被り、節分の日に子どもたちを追い回す恒例行事がありました。
画用紙を切り抜いてクレヨンで着色したお面は正直な所全く怖くなく、小学2年の私と幼稚園の年長さんの弟は、ちょっとしたサプライズとしてこのイベントを楽しんでいました。
「お父さんまだかなー」
「ねー」
父親は一旦外に出て、玄関から入ってくる決まりです。
待ちきれずに囁き合っていると玄関のドアが開き、荒々しい足音が近付いてきました。
「鬼がきたー豆を投げろー!」
弟は大はしゃぎし、予め用意していた枡に入った豆を投げ付けます。私も豆を一掴みすくいとり……言葉にできない違和感を感じて固まりました。
玄関から廊下を抜け、リビングに入ってきた父の服装が、数時間前と変わっているのです。
そう思ってよく観察すると髪型や体格も微妙に異なっており、咄嗟に弟の手を引っ張って裏口から逃げ出しました。
「うちに鬼がいるの、助けて!」
裸足で隣家に駆け込んだ私たちはただちに保護され、すぐさま警察が呼ばれました。
その後急行した警察が庭で倒れている父親を発見します。
「知らない男に殴られて、気付いたらお面を奪われてたんだ」
警察が到着した時には既に逃げていましたが……あの男は一体……
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