古い防空壕を秘密基地にしていたらエライことになったお話
投稿者:窓際族 (47)
今から20年ほど前のお話。
やんちゃ盛りな男子中学生だった私は何人かの悪ガキ仲間と共に、中学校の近くの山に秘密基地を作っていました。
秘密基地と言っても実態はただ古い防空壕を間借りしただけのもの。
中は暗くてジメジメしていましたが、マッチやライターで新聞紙やそこらへんの枯れ枝、枯れ木を燃やせばそれなりに快適な空間にできました。
そして私たちはそこでゲームをしたり、中学生には刺激の強い本を回し読みしたりしていたのです。
もちろん、地元の小学校や中学校では「防空壕には入ってはいけません」と教えていました。
崩れると危ないし、毒ガスが発生していたりするから場合によっては命が危ないぞとまで言う教師もいました。
ですが、悪ガキがそう言われて言うことを聞くでしょうか?
さらにこれのせいか防空壕周辺をうろつく人間はほとんどいなかったので人目をはばかる必要がないというのも非常に快適でした。
しかし、ある秋のことです。
ある友達が家で作っているさつま芋を大量に持ってきたので、それで焼き芋でも作ろうかとしていた時のことでした。
その時は私を含め5人の悪ガキがいたのですが、なんといきなり全員の体が動かなくなり、息苦しくなりました。
突然の冷や汗、さらに襲い来る死ぬかもしれないという感覚。
その後私は「ブーン」という大きな音と、多くの人がガヤガヤと話しているような声を聞きました。
そして、その場にはあるはずもない不思議な光景を見ました。
自分たちと同じくらいの女の子がこちらを悲しそうな目で見ている……
また、彼女は頭巾のようなものをかぶり、もんぺを履き、現代のものではない鞄を持っていました。
「お芋ちょうだい」
彼女がそう言い、こちらに手を伸ばすと「ヤバい、死ぬ!」と本能的に感じた私は飛び退き、ほとんど4つんばいになりながら秘密基地から逃げ出しました。
他の友達には別のものが見えていたらしいですが、どちらにせよ彼らも自分と同じように秘密基地から逃げ出しました。
ちなみに他の子には腕のない男の人や赤ちゃんを抱いた女の人などが見えていたらしいです。
ともあれ、そんなことがあってからというものの私たちはその防空壕を秘密基地に使うことを止めました。
このことを部活の先輩にポロっと言ったら、その先輩はその防空壕に日本酒とお菓子を供え「こういうのにはこうするんだぞ」と言いました。
私たちも土手で摘んだきれいな花を供えました。
そのおかげか、防空壕の祟りっぽいものは今のところ起きていません。
しかし、あの防空壕で見た人たちはいったい……
老人たちは戦争時代のことを語りたがらなかったので、詳しいことは今なお謎のままです。
防空壕って日本全国いたる所にあるんですよね。
いろんな悲しいエピソードがありそう。。。