お洒落で不思議なお爺さん
投稿者:イーブ (28)
短編
2022/02/11
14:24
1,014view
本当は恐い出来事なのかも知れませんが、今からお話することは、恐いというよりも、少し不思議だった体験をしたお話になります。
当時、私は夜専門で温泉宿泊施設に勤務していました。いつも帰宅は日付が変わってからだったのですが、いつものようにバスを降り、毎日通る帰り道。
ふと、黒いシルクハットを被ったスーツ姿のお爺さんが、対向車線から古くて重そうな自転車をこいでくるのが見えました。
「なんてお洒落なお爺さんなのかしら。」
そう思いつつ、そのお爺さんとすれ違う際に、お爺さんは私に笑顔で軽く会釈をしてきたのです。
私もとりあえず、笑顔で会釈して返し、そのまま坂道を下って歩いていると、ふと、ありえないことに気付いてしまいました。
そこは結構な角度の坂道で、私でも立ちこぎしないと苦しいような坂道。ましてや、お爺さんが笑顔でゆっくり自転車をこいで、上ってこれるような坂ではないんです。もちろん電動自転車なんかじゃありません。
それに、街頭があっても近くに寄らない限り、その人が笑顔だなんて見えないのです。
ビックリしてすぐに振り返ると、お爺さんの姿はどこにもありませんでした。
その坂道は、バスから降りたら長い一本道ですし、街頭があるので全く姿が見えないなんてことはないはず。
でも、不思議と、怖いとは感じないお爺さんでした。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 4票
関連タグ:
#バス
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。