掘り下げ式の道路で、突然動かなくなった足
投稿者:とろとろ (22)
これは、私が就職活動で、ある地域を訪れた時のことです。
面接に向かう途中、私は掘り下げ式になっている道路を通りました。
その道路は、真上に別の道路が交差しているため、ちょっとしたトンネルのようになっていました。
薄暗くて、排気ガスが生ぬるく通り抜ける、少し陰気な道路でした。
面接の時間までゆとりがあったので、私は特に急がず、普通の歩幅で歩いていました。
しかし私の後ろを歩いていた女子高生たちは、違っていました。2人で私を追い越し、掘り下げ部分を足早に進んでいったのです。
私は、
「何か急ぐ用事があったのかな」
と思ったのですが、それはおそらく間違いでした。なぜなら後ろから、おばあさんまでもが、私を追い越して行ったからです。
おばあさんは手押し車を押していて、足腰はさほど達者でもない様子でした。それにもかかわらず、女子高生と同じように足早に、掘り下げ部分を通過したのです。
「この場所は危険なのかも…」
と不安になり、私は歩幅を大きくしました。
しかしその瞬間、私のふくらはぎが急に重くなり、上がりにくくなりました。
そして、確かに聞こえたのです。
「出してくれ…」
という、地の底から響くような低い声が…。
「ひゃあぁ…!」
私は思わず叫び、全身の力を足に入れて、ダッシュでその場を通り抜けました。
その後の面接では、恐怖から、まともに喋ることができませんでした。当然不採用だったのですが、それで良かったと思います。
なぜなら後から知ったのですが、その掘り下げ式の道路では以前から、雨水が集中することによる、車の立ち往生や死亡事故が起こっていたからです。
考えてみれば、あの時動きにくくなった私のふくらはぎは、まるで泥沼に足をとられた時のようでした。
そしてあの声は、雨水に浸かった車から脱出できず、命を落とした方の声だったのかもしれません。
地元の女子高生やおばあさんは、それを知っていたからこそ、足早に通り過ぎていたのでしょう。
面接で失敗して良かった…。
こんな道、出勤で毎日通るなんて、怖すぎますから…。
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