「心残り」マキちゃんに捧ぐ
投稿者:アイミ (2)
これは私が、高校3年生の時に体験した実話です。
季節は、8月中旬でした。
夏休み中の私は、エアコンの効いた1階リビングに、毎日のように入り浸っていました。
私の部屋にはエアコンがないからです。
その日は、23時過ぎにいつものように、私は1階のリビングで充分に涼んだ後、
急いで2階の自分の部屋に行き、ベッドにもぐりこみました。
身体が冷え切っているうちに、眠ってしまうのが習慣になっていました。
私の部屋は和室だから、比較的過ごしやすかったので、特に不便を感じませんでした。
「まあ窓を少し開けておけば、夜風が入り込んで涼しいからね…」
カサ、カサ、カサ…
どこからか、こんな音が聞こえてきました。
私はその音で目を覚ましてしまいました。
時計を見ると深夜の3時。
私は一瞬
「大きな木の小枝が風に揺らされ、葉がサラサラと音をたてたのかな」と想像しました。
窓を閉めて、もう一度眠ろうとしたその時、ふと思い出しました。
「そうだ…ここは住宅街だった…」
「こんな音を立てるほど、たくさんの葉を付けた木々はない…」
もう一度起きて、窓の外の景色を見ると住宅がびっしり立ち並び、緑なんて全く見えませんでした。
この家に引っ越して、まだ1か月ほどしかたっていなかったから、私は家の周りをすぐに思い出せなかったのです。
少し気になりましたが、眠さが勝ちそのあとは朝の7時まで目ざめませんでした。
そして、翌日の夜…。
また、どこからともなくカサ、カサ、カサ…と、音がしました。
「この音…昨日も聞いた…」
「木の葉が擦りあう音じゃないなら…」
「そうだ!きっと私、さっきまで開いていた現国の教科書をしまい忘れてた」
「だから窓から入った風が、デスクの上の教科書をペラペラとめくっているんだ」
教科書を引き出しにしまおうと、起き上がった私はすぐに思い出しました。
「違う…寝る前にちゃんと教科書を引き出しにしまったんだった」
「じゃあ、さっきの音はなに?」
風が揺らした、木々の擦りあう音ではなく、教科書のページが風でカサカサと揺らされた訳でもない…
考えているうちに、気味が悪くなってきました。
「空耳?」
「それとも寝ぼけてるのかな…?」
そう思いながら時計を見ると、夜中の3時でした。
昨日と同じ時刻でした。
2日続けて奇妙な現象に寒気がしてきたので、窓ガラスを閉め私は布団を頭からかぶり寝てしまいました。
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