そして更に、翌日の夜…。
また聞こえたのです。
そう…あのカサ、カサ、カサ…と、言う音が…
「間違いない!私は寝ぼけてなんかいない」
「誰かが意図的に音を出しているんだわ!」
時計を見るとやはり、夜中の3時でした。
3日間、同じ時刻に同じ音がするのです。
さすがに恐怖心がつのってきました。
私は布団の中に入り、小さく丸まって震えていました。
すると突然、我が家の周囲をぐるぐると、誰かが回つている絵が見えたのです
「見えた」と言っても、この目で確かめた訳ではありません。
布団の中でギュッと目を閉じているのに、脳裏に焼き付くように外の様子が見えるのです。
その人は、ぼんやりとしていて顔は見えません。
ふわりふわりと風のように浮きながら、私の家の周りを上から眺めています。
その後、その人は玄関前に立ちました。
そして鍵のかかっている扉をすっと、すり抜けて我が家に入り込んできたのです。
「入ってきた!」
「どうしよう…」
その人は、私の部屋に続く階段を上がってきました。
私はあまりの恐怖に、息を殺し布団の中でじっと耐えていました。
「何者なの…?」
ついにその人は、すっとふすまを通り抜け、私の部屋に入って来ました。
すると今度は、身体は見えなくなり、足首から下だけの映像に変わりました。
もちろん「目で見えている」のではなく、脳で見ているのです。
不思議な現象ですが、本当に見えたのです。
白い足だけが、ゆっくりと私のベッドに近づいてきます。
畳を踏むたびにミシッミシッと言う、音を立てながらゆっくり近づいてきます。
足音が最大に大きくなった時、その人は私のベッドの前に立ったのです。
もう怖くて怖くて身体が、カチカチに固まっていました。
私は、息を殺して眠ったフリをしていました。

























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