想像上のお友達に取り憑かれた友達の話
投稿者:窓際族 (47)
皆さんは「タルパ」というものをご存じですか。これは一言で言えば「想像上のお友達」のこと。心理学の分野ではイマジナリーフレンドとも呼ばれますが、ネット上ではタルパとイマジナリーフレンドはまったく別のものであるという人もいれば、似たようなものだという人もいます。しかし、想像上のお友達であることには変わりないので、その辺の話はひとまず置いておきます。
ともあれ私の友達、仮に名前をA君としておきますが、A君はタルパを持っていました。霊能力者が視ればタルパを霊と同じように見ることができるなどという話があったり、霊とタルパは本質的には変わらないなどとする説もありますが、A君はそれに近いような考え方をしていました。「大いなる神様が人の魂を産んだのだから、神の映し身である人の魂もまたより小さな魂を産むことができる」とかなんとか言っていたような気がします。A君は男でしたが、魂にも男とか女とかあるのでしょうか。
それはさておき、A君はタルパとはうまくやっていました。A君はあちこちの飲食店、特にラーメン屋やつけ麺屋など麺類の店を食べ歩くのが好きで、よくタルパと共に高田馬場や池袋、新宿などに出掛けていました。余談ですが、私もよく一緒にラーメンやうどんなどを食べに行ったものです。ちなみに、A君のタルパはスタンダードなタイプのきつね娘。巫女服を着たきつね獣人で、しっぽは9本あってもっふもふ。明るくて食べることが大好きな性格なんだそうです。あとちょっとしたおまじないが使えるのだとかなんとか。まあ私には霊もタルパも見えないので、本人の言によって以外は確かめようはありませんでしたけどね。
とはいえ、私は「本人が幸せなら別にいいじゃん」と考えていました。そのきつね巫女さんは別に私たちに何かするわけでもありません。また、Aの周りには「実在しない彼女しか愛せないだなんてかわいそうに」なんて言う人もいましたが、別に誰かに迷惑をかけているわけでもありません。
ところが、私やAの就活が始まってしばらく経ったあたりから、A君の言動が若い男のそれではなくなるということがしばしば見られるようになってきました。まるできつね娘がAに化けているような、そんな感じでした。就活が進んでいくとその頻度も多くなり、ひどい時には1日1回は見かけるようになりました。
これを見かねたAの研究室の教授は「きつねに憑かれてるんだからお祓いに行った方がいいんじゃないか」と言ったり、私の他の友達は「統合失調症かもしれないし一回医者に診てもらった方がいいんじゃないか」と言ったりしていましたが……私は違うアプローチを取りました。タルパのきつね娘と話すことを試みたのです。
正直なところ、私は精神医学を詳しく知っているわけではありません。しかし、タルパが主人の辛い人生を肩代わりしようとした結果こうなったのではないかという仮説を立ててはいました。現にAは就活で苦戦しており、周りが内定をゲットしている中、彼は一社の内定もゲットできていませんでした。そういう人は当時でも決して珍しい存在ではありませんでしたし、一研究室に一人くらいはいたとは思いますが、いざ当事者になると辛いものです。他の学部ではこれで飛び降りようとした人もいたくらいだと聞きました。
しかし、タルパと話してみると、タルパもA自身もむしろ就活のことについてはもうあまり悩んでいないとのこと。とはいえ、最初に入った会社に正社員として勤め上げ、早くいい女性を見つけて結婚し、子供を作らなければならないという周りから押し付けられる常識には悩んでいるということが分かりました。特に母親からのプレッシャーが半端でないようで、母親は20代前半のうちに結婚させるためにタルパをなんとかして消したいということまで言っているようでした。
確かに一般常識的には、Aは想像上の彼女よりも実在する彼女と一緒になった方がいいと考えるべきでしょう。しかし、私はそうは思っていませんでした。無理に実在する彼女を作っても、それがAにとってもタルパにとっても彼女にとっても幸せにつながるようには思えなかったからです。だから、私は母親とは距離を取った方がいいと言いました。そして、その覚悟があるのなら結婚式を挙げても良いんじゃないかとも。
しかし結論から言えば、Aは母親の影響を逃れられず地方の役所に入り、実在する人間の彼女を作り、そして程なくして退職、彼女とも別れました。感情を抑圧されたAとタルパは人格が融合したようになってしまい、母親が医者や著名な霊能力者に見せてもどうすることもできなかったので、今度は私の元を頼ってきましたが私にもどうにもなりませんでした。タルパの人格を呼び出して「大好きなマスターが人間の女とつながるためにさっさと消えろって言われたら辛いよね」と言ったら泣いて賛同してくれたので、母親に「今の状態を認め、そこからどうすべきか考えるべきです」と言ったら母親はそれを頑なに拒否。母親は早く孫が欲しいようでした。それも男の子の孫が……。
その後、Aは引きこもってずっとPCをしながら暮らしています。それを見た私はYoutubeに動画を投稿して収益をあげるプロジェクトに彼を誘ってもみましたが、心の傷が大きいらしくもう社会生活は送れないと言っていました。タルパというオカルトチックな存在と人間の間に子供はできないかもしれませんが、愛の形は人それぞれ。もし母親が、そしてAの周りの人間がAとタルパの関係性を認めていたとしたなら、もっと違う未来があったのではないかと今でも思うことがあります。これをもってタルパや想像上の彼女は危険だという人もいますが、本当に危険なのはすました顔でそれを言う人間の方ではないかと思うのです。
なんか切ない話ですね
私もそう思いますね。
世の中にはオカルト的な謎から逃げている人、信じない人、病気と言っている人が多いのも確かです、タルパは精神的な事がきっかけで作り出されるものですが、それは自分を守ってくれるもので有って、悪いものではないと私も思います。
霊とタルパは似たようなものですが、違うと言えば違うもので、又もう一人の自分を作り上げる人格障害や、幻覚とも又違う、霊と言えば霊ですがそれとも違う、種類が違うのです。
霊は自分が作り上げたものじゃなく他人の魂、又統合失調症は回りの生き霊に怯える影、その影も自分以外の他人、人格障害は本人事態が別の人格になっても、一つの個体なので、目に見えるもの、タルパは自分が作り上げた自分の友達でもあり本人にとっては守護霊若しくは神のような存在でも有ると私は思っているので、霊とは又違う種類だと私は考えます。
自分が作り出したタルパは家庭や回りの環境によって自身から作り出されるものなので、その辺周りの人の理解が欲しいところです。