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舞姫さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

雛人形に泣かれた話
短編 2021/12/01 09:26 1,947view

よく巷では、雛人形を仕舞いっぱなしにして飾らないでいると泣く、と言われていますが、なるほどこういう事なのかな…と思った体験です。

私の家にあった雛人形は、昭和の時代に7段飾りが流行った頃のそれなりに贅沢で大型のものでした。
地方では当然のことで、関東住まいの自分の貧乏な家でも、見栄なのか何なのか、部屋いっぱいに大きな雛飾りを置いていたのが子供の頃のかすかな記憶として残っています。

しかし、時は流れてそのような時世ではなくなり、お雛様は一番上の段の一対をのぞいて処分した後は、押し入れにしまいっぱなしでした。
20年近く前に見た時は、子供の頃触っていたためか、髪は乱れ小物も散逸しており、全く関心が薄れていました。
しかし、ここ数年来、同僚から人形供養の話を聞いたりしており、機会あれば持って行きたいと考えていたところ、丁度よく近所で開催されていたため、持って行くべく押し入れの整理に取り掛かりました。

かつて1、2度整頓したことの合った押し入れでしたが、色々積み込まれていためか、雛人形の木箱一つを出すのに埃まみれになって難儀しました。

ようやく、数十年振りに改めてみたお雛様は、記憶と違って愛おしかったのが不思議でした。
日本人形って少し怖いイメージがありましたが、私も年を取ったのか、なぜか愛おしい…、これを手放すのはもったいないとも重いためらいを感じていましたが、この機会を逃すとなかなか次はなさそうです。

荷物の整理と掃除をしてひと段落していると、先ほど押し入れから出てきた古いホコリまみれのポットの先から、まるで涙のように一滴の雫がゆっくり流れていくのが目に入りました。
最後にポットを使ったのはもう何年も前のことです。

まるで、お雛様が泣いているみたいだ、泣かれてしまった…と感じて愛おしさが増し、申し訳ない気持ちで一杯となりました。
全然怖くはありませんでしたが、不思議に感じた現象で、人形供養の必要性を感じた次第です。
ちなみに、持ち込んだ先の会場には、すでに部屋中びっしりと人形が並んでいましたが、不思議と怖くもなく、皆お祝いの品として使われていたらしく、喉かにほのぼのとした雰囲気でした。

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