真夏のスキー場のコテージ
投稿者:PCH (4)
そう言い出しました。私は冷静に『間違って何かボタン触ったんじゃないの?』と聞いてみる。
『床に適当に置いていたし、そもそも手に持っていなかったから、間違えて触るとかも絶対ない』
音は確かに聞こえたし、私も含め、起きていた2人ももちろん聞いていました。
触れていないのにシャッター音が鳴った。そして更に不思議な事に、画像は何も残っていなかったらしい。
そうこう話していると、企画してくれている友人が起きてきました。
シャッター音が鳴った携帯電話の持ち主は、初年度にも参加していました。これで2度目の怪奇現象。
怪奇現象や心霊現象といった類いの事は全く信じていませんでしたが、さすがにこの時は不気味に感じてしまいました。
個室で寝るのが少し怖く思えましたが、企画してくれている友人が『ここは俺からしたら亡くなった親父に守られている聖地だから、何も怖くない』と言っていたので、もしかしたら友人の亡き父が、存在に気付いてほしくてアピールしているのではないか、と考える事にしました。
そう考える事で、不思議と不気味さは感じなくなり、朝まで眠る事ができました。
朝、全員が起きてからは深夜の不思議な現象の話しをしましたが、その後は特に何も起こらず、ゆっくりと朝ご飯や片付けをしました。
真冬になるまで、もう誰もコテージには来ないので、ゴミなどの片付けはもちろん、布団やシーツも綺麗に片付け、全ての部屋の窓や鍵はチェック。最後の最後に、全ての窓の鍵を見て、忘れ物がないかも調べて、扉を閉めてから部屋を出る。トイレの状態も調べて、全て問題なかったので、最後に私がコテージを出ました。
その間に、友人達は外で荷物を積んでくれたりしていました。
元々仲良しの集まりなので、友人達は全員で車の近くで雑談を楽しんでいる様子。鍵を持っているのは持ち主のみなので、私は玄関の扉を閉じて鍵を掛けるのを待つ事にしました。
ギィィ……バタン
全ての扉を閉じたはずの建物の中から、何故か扉が閉まる音……。友人達は、お話しに夢中だし、距離もあったので聞こえていない。
どうしようか……正直、怖かったし、少し迷いましたが、思い切って中を見てみましたが、当然誰もいませんでした。何も変わった様子はありません。
もしかしたら閉じ忘れたところがあったのかもしれないけれど……何だったのだろうか。
そのすぐ後に、私が出てきた事に気づいた友人が鍵をかけて、無事帰路につきました。
色々とあって、そのコテージは他の人の持ち物となってしまい、その年を最後に、真夏のスキー場に行く事はなくなってしまいました。
楽しい思い出の方が多いし、時折懐かしく思ったりもしますが、今でも不思議なままです。
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